西野朗タイ代表監督(左から2人目)【写真:植田路生】
前日本代表監督で、タイ代表の新監督に就任した西野朗氏は4日、タイ・タンマサート大学スタジアムにおいて、5日の2022年カタールワールドカップ二次予選・ベトナム戦に向けた公式会見に臨んだ。
西野監督は冒頭で「タイ代表監督として最初のゲームになる。招聘してきれたことに感謝する。限られた準備期間だったが、全力を尽くしたい」と意気込みを語った。そして、「一人ひとりのポテンシャルは想像以上。若い選手の中にはまだまだ可能性のある選手がたくさんいる」と一定の手応えを感じているようだった。
ただ、「アジアや世界を見据えた中でまだまだ(試合を)やっていない。経験がない」とタイ代表をとらえている。また、「先輩への気遣いを感じる。同じレベル、同じ代表チームで選考しているし、それはダメ、チャンスがないよ(と言った)。A代表では自分を主張するプレーをしないといけない」と年長者に遠慮する特性は弱点ととらえている。
タイ代表初陣がいきなりベトナム戦。東南アジアのライバル相手にホームで落とすわけにはいかず万全を期したいところだが、いかんせん準備期間が短い。思わず弱音ともとれる本音を吐露した。
「タイ代表に限らず世界的に見られることだが、得点力不足を感じる。国内リーグではセンターFWは外国人選手。経験のある選手でさえ横(サイド)に置かれている。今回ストライカーを探すのは大変だった。全員で向かわないといけないが答えは出ていない。全員でアグレッシブに入る必要がある」
監督に就任してまだ1ヶ月半。対するベトナムは韓国人の朴恒緖(パク・ハンソ)監督が2年間指揮をとっている。チームの成熟度では雲泥の差があり、地元メディアも大方が厳しい戦いになることを予想している。
ベトナムの主将クエ・ゴック・ハイはタイのストロングポイントに「新しく優秀な監督を招いた」と警戒心をあらわにした。
「勝負師」と名高い西野監督は、これまでもいくつもの厳しい戦いをものにしてきた。タイ代表の初陣で、その真髄を発揮することができるか。
(取材・文:植田路生【タイ】)
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