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日本代表 5年前

久保建英は「日本代表のトップ下」になれるのか? 競争を勝ち抜くために示すべき長所とは

久保建英がコパ・アメリカに引き続き日本代表に名を連ねた。今回の招集メンバーを見ると、久保のポジションはトップ下であると想定できる。現状、トップ下のレギュラーは南野拓実だが、久保がポジション争いに食い込むために必要なこととは?(取材・文:元川悦子)

text by 元川悦子 photo by Shinya Tanaka

絶好調の南野。超えるのは至難

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日本代表でプレーする久保建英【写真:田中伸弥】

 バレンシア戦での18歳2ヶ月28日のリーガ・エスパニョーラ・デビューから2日。森保一監督が再会を待ち望んでいた久保建英が3日、満を持して日本代表に合流した。

 到着した成田空港では警官に付き添われて特別導線から宿舎へ移動。鹿嶋市内の練習場のピッチに姿を現した時は異種独特なオーラを漂わせていた。トレーニングが始まり、ランニングを始めると中島翔哉と植田直通と終始笑顔で談笑。一転して18歳の若者らしい一面ものぞかせた。

だが、練習後のメディア対応では「実力が伴っているから選んでいると思っている。それを自分が証明するしかない」と強気の発言を口にする。初日からさまざまな顔を見せる彼に、チーム全体が大きな刺激を受けたのではないだろうか。

 しかしながら、久保はまだ日本代表では3度目招集の新参者。ここからレギュラー争いに向かうチャレンジャーの立場だ。今回の2列目の陣容を見ると、森保ジャパン発足時から主力と位置付けられてきた堂安律、南野拓実、中島翔哉の3枚がファーストチョイス。そこに右サイドの伊東純也、左サイドの原口元気、トップ下の久保が挑んでいく構図だ。

 つまり、同じトップ下の南野からポジションを奪うことが、久保にとってのレギュラー定着への一番の近道ということになる。とはいえ、森保ジャパン15試合出場5得点という実績を残し、今季ザルツブルクでも公式戦6ゴールをマークする絶好調の南野を超えるのは容易なことではない。まずはゴールに直結するプレーを増やし、インパクトの大きな結果を残すことが先決と言える。

久保建英のアドバンテージとは?

 A代表入りしてからの久保を振り返ると、6月のコパ・アメリカ初戦・チリ戦
で自らのドリブル突破から決定機を作りながら、シュートをサイドネットに飛ばすなど、勝負強さがあと一歩、足りない印象があった。

「シュートは入る日もあれば、入らない日もある。シュート練習でいいゴールを決める日でも入らない日もあるんで、それは結果論しかない」と本人は語気を強めていたが、ワールドカップ出場の懸かるアジア予選になれば「決まらなかったから勝てなかった」では済まされない。

 これから日本を背負う重圧を痛感することになるだろうが、それを乗り越えるしか、エースの座を奪う術はない。久保自身は「『プレッシャー、プレッシャー』と言われるとプレッシャーを感じちゃうかもしれないんで、あまりそういう言葉は耳にしないようにしています」と外野の雑音をシャットアウトして戦うつもりだが、「年代別代表とA代表の予選は重みが違う」ともキッパリ話していて、厳しい戦いになることは覚悟している。

 ただ、アジア予選未経験なのは南野も堂安も中島も一緒。2018年ロシアワールドカップ予選の立役者の1人である原口元気が「世界とアジアは別物。前回の予選は相当苦しかった」と苦渋の表情を浮かべたように、長丁場の戦いで結果を出し続けることは極めて難しい。それをやってのけて初めて日本はワールドカップの大舞台に立てるのだ。

 前回最終予選で史上初となる4試合連続ゴールを決めた原口のような存在が予選未経験組から出てこなければ、レベルの上がっているアジアは勝ち抜けない。その現実をよく認識したうえで、久保は自分が何をすべきかを熟考する必要がある。

 彼にアドバンテージがあるとすれば、柔軟性や多様性、臨機応変さという自身の長所が、環境や相手が目まぐるしく変わるアジア予選では大いに役立つということ。

 ゴールハンターに近いFW的な南野と違って、久保はお膳立てもゲームメークも突破も局面打開もできる選手。ポジションもトップ下のみならず、1日のバレンシア戦で入った右サイドも得意だ。3バックの場合は2トップや2シャドウもこなせる器用さも兼ね備えている。そこは森保監督にとっても使い勝手がいい部分。他の攻撃陣もやりやすいだろう。

原口元気も期待を口に

 6月のエルサルバドル戦では久保が入ったタイミングで交代したため共演機会のなかった原口も期待を口にする1人だ。

「前回は一緒に試合には出なかったですけど、彼はうまいんで、預けて出ていくイメージかなと。彼に集めて走れる選手は走った方がいいと思うし、どちらかというと僕も出してもう1回出ていくっていうのはイメージしてます。今回は一緒にやってみたいですね」と久保のパス出しに信頼を寄せている。

 仮に伊東、久保、原口という2列目の組み合わせであれば、久保がゲームメークに回ってサイドの2人が矢のように飛び出すという原口のイメージするような攻撃が出やすいだろう。堂安や中島が左右にいる時は、彼らがお膳立てに回って久保がゴールに突き進んでいく形も増えるのではないか。

 このように久保は南野とは違った特徴を出せる存在。それを理解してもらえれば、チームの攻撃の幅は確実に広がっていく。

 そうやって他のチームメートの信頼を勝ち取り、徐々にボールが集まるような状況を作っていけば、久保の地位は自然と高まっていくはず。そうなるように、まずはパラグアイ戦でいい状態であることを証明し、ミャンマー戦で起用される状況を作っていくことが肝要である。彼にとってこのシリーズは今後を占う重要な試金石になりそうだ。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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