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久保建英、ついにマジョルカデビュー。約11分間のプレーで何を意識し、何をアピールしたのか

リーガ・エスパニョーラ第3節、バレンシア対マジョルカが現地時間1日に行われ、2-0でホームチームが勝利を収めている。この日、出場が期待されていたMF久保建英は79分から登場。マジョルカデビューとなったが、そのプレー時間は約11分間とやや物足りなさが残った。それでも久保は、指揮官にアピールしようという姿勢を前面に押し出していた。(文:小澤祐作)

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

ついに新天地デビューも…

久保建英
マジョルカデビューを果たしたMF久保建英【写真:Getty Images】

 リーガ・エスパニョーラ第3節、バレンシア対マジョルカのゲームが行われていたエスタディオ・デ・メスタージャの上空は快晴に包まれ、同スタジアムには実に40,441人もの観客が訪れた。眩しい日差しがピッチに降り注ぐ中、フィールドでは両者ともに譲らない、激しい攻防が繰り広げられている。その光景自体は、いつものフットボールと何ら変わりはなかった。

 だが、我々日本人にとってこの一戦は特別なものとなったのかもしれない。その待ちに待った瞬間が訪れたのは、79分のことだった。クーリングブレイクにより試合が一時中断すると、ピッチ脇中央には赤いシャツを身にまとった背番号26の姿があった。日本代表MFの久保建英である。同選手はFWアンテ・ブディミールに代わりピッチイン。この瞬間、欧州4大リーグにおける日本人最年少出場記録が誕生したのである。

 しかし、ついにマジョルカデビューを果たす格好となった久保であったが、その初陣は厳しいものとなった。そもそも、背番号26がピッチに入った時点で、スコアは0-2。MFダニエル・パレホの2つのPKによる得点でリードを広げていたバレンシアは、その時間帯はすでに4-4-2のブロックを敷き、徹底して守備に回っていたのである。

 そうなると、右サイドに入った久保の周辺には大きなスペースが生まれず、チーム自体もビルドアップに困っていた。18歳のMFはピッチに入ってからしばらく、パスが来るどころかボールにすら触れることができなかったのである。

 そんな中、ファーストタッチの瞬間がやってきたのは82分。MFサルヴァ・セビージャからのパスを受けた久保は、ボールをコントロールすると迷わず縦への突破を図り、DFを引き連れる。最後はFWラゴ・ジュニオールと連係しながら守備網を突破しようと試みた。これが、マジョルカにおける久保のファーストプレーとなったが、印象的には悪くなかったはずだ。

 しかし、その後はなかなかボールが回ってこず静かな時間を過ごした久保。オフ・ザ・ボール時に中へ侵入したり外へ開いたりと果敢に動いたが、パスを受ける回数は限られた。結果、久保は約11分間プレーしたものの、あまり特徴を生かすことができなかった。

短い時間でも見せたアピールの姿勢

 それでも久保は、少ない時間でもアピールしようという姿勢を見せた。その象徴的なシーンと言えるのが85分だ。DFホセ・ルイス・ガヤがドリブルでボールを運ぶと、これをDFホアン・サストレがストップ。縦へのコースを切られたガヤはターンを試みるが、自陣に戻ってきた久保がサストレとサンドする形でボールを奪う。ノーファールの素晴らしいプレーであった。

 また、90分には相手の左サイドバックであるガヤが後ろ向きでボールを持ったと見ると素早くプレスを与え、前を向かせず。ここはタックルがファウルになったが、守備でも存在感を出そうとしていた。

 久保はマジョルカの中でもトップレベルの技術を持っていると言える。だが、ビセンテ・モレノ監督が恐らく気にしているのが守備面だ。マジョルカはやはりリーグ戦などで守る機会が多いチームなので、ピッチに立つ11人には高いディフェンス意識が根付いている。バレンシア戦でもその点は明らかだった。

 久保のライバルと見られるMFダニ・ロドリゲスはサイドハーフの選手ながらチームトップとなるタックル成功数2回を記録。その他タックルを成功させた選手はラゴ・ジュニオール、MFアレイクス・フェバス、ブディミール、MFイドリス・ババ、サストレ。このメンバーを見ても分かる通り、攻撃的ポジションの選手が軒並み守備での高い貢献度を誇っている。とくにサイドハーフのラゴ・ジュニオールとD・ロドリゲスのアップダウンはかなり激しく、バレンシア戦でも相当守備に気を使っていた。

 だからこそ、スタメン奪取を狙う久保は上記したようなプレーを見せる必要があったのだ。18歳のMF自身もそれをわかっていたのだろう。ピッチに入った瞬間から、右SBのサストレとうまく挟みながらボールを奪おうとする姿勢を前面に出していた。今後、指揮官の信頼を得るためにはこうした部分でアピールしていくことが重要となるだろう。

 久保はここから一時、日本代表に合流する。その間、マジョルカのチームメイトと連係を深めることができないのは痛いが、パラグアイ代表戦、ミャンマー代表戦で結果を残し、良い状態でスペインへ戻って行ってほしいところだ。

(文:小澤祐作)

【了】

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