久保建英【写真:田中伸弥】
日本サッカー協会は30日、来月5日に行われる国際親善試合パラグアイ戦と同10日のカタールワールドカップアジア2次予選のミャンマー戦に向けた日本代表メンバーを発表した。
今回のA代表メンバーの中には、東京五輪世代の選手が4人含まれていた。セリエAのボローニャで好スタートを切ったDF冨安健洋、オランダの名門PSVアイントホーフェンへの移籍が決まったMF堂安律、レアル・マドリーからマジョルカへの期限付き移籍中のMF久保建英、そしてオランダ1部のフローニンゲンで主力位定着しつつあるMF板倉滉の4人だ。
すでに日本代表の中心となっていた冨安と堂安に加え、東京五輪世代中心で臨んだ6月のコパ・アメリカで好パフォーマンスを披露した久保と板倉がA代表の競争に割って入ってくることになる。
そして本大会まで1年を切った中、北中米遠征に向かうU-22日本代表メンバーには5月のU-20ワールドカップに出場した、さらに下の世代の選手たちが入ってきた。すでに招集経験のある湘南ベルマーレのMF齊藤未月をはじめ、セレッソ大阪で出場時間を伸ばし始めたDF瀬古歩夢や、サンフレッチェ広島のMF松本泰志がU-22日本代表メンバー入りを果たしている。
またU-20ワールドカップには出場していないが、同世代のトップを走ってきた浦和レッズのMF橋岡大樹、バルセロナBへ移籍したMF安部裕葵もU-22代表の一員として貢献が期待される。
東京五輪に出場できる選手は最大3人のオーバーエイジ枠の選手を含めて18人のみ。候補となる選手が増えるにつれ、競争は激しさを増していく。A代表とU-22代表を兼任する森保一監督は「これまでも選手に言ってきましたが、東京五輪代表ではなくて、A代表により多くの選手が、(東京五輪)世代の代表を超えて入ってこれるようにアピールしてほしいと思いますし、力をつけてほしいと思っています」とさらなる成長を求めている。
「この年代はまだまだ選手の序列というか、成長の段階で入れ替わりがあると思っていますし、そこは東京五輪に向けても最後まで選手たちには自分を高めてもらい、その中で選手を選ぶということで、よりたくさんの選手をまだまだ見ていければなと思っています」
そう語る森保監督は、東京五輪に向けてまだチームを固めていくつもりはない。「自然とコアな選手は残っていくと思いますし、あまり決めつけすぎずにチーム作りをしていきたい」とも語った。
東京五輪を迎えるタイミングで、中心を担う23歳以下の世代がより多くA代表に定着し、「実質日本代表」のクオリティで自国開催の五輪を戦うことができれば、メダル獲得にもより近づくことができるだろう。もちろんU-20世代も関係なく「全ての選手がまだまだ成長の伸びしろを持っている」状態。
冨安、堂安、板倉、久保の4人も油断はしていられない。今回は欧州移籍の直後ということもあってかU-22代表の中心だった三好康児は呼ばれず、A代表経験を持つ中山雄太もいない。U-20世代の有力選手にはAZアルクマールで躍動する菅原由勢やトゥエンテの中村敬斗といった海外組もいるが、U-22代表には招集されなかった。
彼らのように今回は招集外でも五輪本大会でメンバー候補になりうる選手はまだまだ数多くいる。そしてU-22代表にJリーグでも存在感を放つさらに若い世代が多く入ってきたことによって、東京五輪出場に向けた競争はどんどん激しく厳しくなっていく。
今回のU-22日本代表の北中米遠征はA代表の活動期間とも重なっているため、これまでと同じように横内昭展コーチが監督代行として指揮を執る。6日のU-22メキシコ代表戦、そして9日のU-22アメリカ代表戦と、予定されている2試合で東京五輪出場を目指す若武者たちがどんなパフォーマンスで自分の存在をアピールしていくかに注目だ。
【了】