これまでの代表にない攻撃の形を生み出した香川
ヨルダン戦の敗北から2日が経ったが、ワールドカップ出場を決めてくれるという期待ムードからの反動で、ザックジャパンに対する論調は厳しいものが目立つ。ただし、希望がなかったわけではない。
ヨルダン戦ではサプライズがあった。香川真司がトップ下で先発したことだ。直前のカナダ戦でトップ下としてプレーしていたので、当然あり得る選択肢ではあったが、大事な試合で慎重派のザッケローニ監督が「香川トップ下」に踏み切ったのは、驚きだった。
カナダ戦では香川がトップ下に入ったときにボールがうまく回らず、後半に中村憲剛が投入され、香川が左サイドに移ってから良くなったというのが一般的な論調である。しかし、ザッケローニ監督は別の角度からこの現象をとらえていたのではないか。
岡崎慎司がループで決めたカナダ戦のゴールは、長谷部誠のスルーパスに香川真司が飛び出してGKとの1対1になりかけたところから生まれている。トップ下の選手が1発で裏に抜け出してカウンター気味に持ち込む攻撃の形は、これまでのザックジャパンにはなかったものだ。
ザックジャパンはボールを回していくポゼッションサッカーをベースにチームを作ってきた。一方で、トップ下の位置でタメを作れる本田圭佑の不在時は、パス回しがうまくいかないという課題も露呈している。しかも、このところ本田は怪我が多く、常に使えるという計算が立ちにくい。
ワールドカップまで1年ちょっとに迫った今、ザッケローニ監督は本格的に本田不在時の「プランB」を作る必要に迫られているのだ。