【その2はこちらから】 | 【その3はこちらから】 | 【その4はこちらから】 | 【フットボールサミット第1回】掲載
その国“らしい”サッカーとは?
日本人らしいサッカーとは何か? 今回、編集部から投げかけられたこのテーマには、2つの前提が含まれているように思う。
第一に、「日本人らしいサッカー」はまだない。または、よくわかっていない。
第二に、「日本人らしいサッカー」を追求することが日本代表の強化につながる。
第一の前提については、そうかもしれないとも思うが、そうでないところもある。第二の前提については、むしろ「日本人らしいサッカー」の追求は強化につながらないというのが僕の意見である。
ではまず、日本人らしいサッカーというときの「日本人らしさ」について考えてみたい。
我々日本人は「日本人らしさ」について、ふだんはあまり意識していないかもしれないが、意識するしないにかかわらず、もうすでにそれは“ある”のではないか。
ブラジルのサッカーを見ると、いかにもブラジルらしいと感じる。南アフリカW杯のブラジルは、「どこかブラジルらしくないなあ」と言ったりする。これは“ブラジルらしいサッカー”というイメージがあるからだ。南アフリカW杯で優勝したスペインは、スペインらしいサッカーを貫いたといわれる。ドイツは従来のドイツらしいチームから、いい意味で変わったといわれる。
では、南アフリカでのスロバキア代表は、スロバキアらしいサッカーをしていただろうか。アルジェリアはどうだろう。スロベニアはスロベニアらしかっただろうか。
明快に答えられる人もいるかもしれないが、読者の多くは「わからない」だろうと思う。スロバキアやスロベニアが“らしかった”かどうかの前に、スロバキアらしいサッカーやスロベニアらしいサッカーというもののイメージがないと答えられないからだ。
あまり情報のない国のサッカーが“らしい”かどうかなど、よくわからない。ブラジルらしさやイタリアらしさについてはイメージが浮かぶが、有名でなかったり情報が少ない国のサッカーには“らしさ”があるのかどうかさえ判然としない。