スパーズ生え抜きのスーパーストライカー
2018年ロシアワールドカップで6ゴールを決め得点王となったハリー・ケインは1993年にイングランドで産まれた。彼のプロキャリアはトッテナムで始まったが、トップチーム初年度となる09/10シーズンは出場なしに終わった。その後はイングランド国内のクラブをレンタル移籍で転々とし、13/14シーズンにトッテナムに復帰した。
トッテナムに復帰すると、第33節サンダーランド戦で初出場・初先発・初得点を記録した。そこから3試合連続でゴールを決めるなど活躍を見せ、来シーズンに弾みをつけていった。
当時トッテナムのセンターFWを任されていたロベルト・ソルダードが不振に陥ったこともあり、14/15シーズンからケインが定位置を掴み、ブレイクした。このシーズンではリーグ第30節レスター戦でプレミアリーグで自身初のハットトリックを決め、得点ランク単独トップにまで上り詰めた。また1月、2月と連続でプレミアリーグ月間最優秀選手賞を獲得。これは当時史上4人しかいない快挙だった。最終的にこのシーズンではセルヒオ・アグエロの26ゴールに次いで21得点で得点ランキング2位となり、自身初のPFA年間ベストイレブンとPFA年間最優秀若手選手賞を受賞した。またここから4シーズンに渡り20ゴール以上を決める。
15/16シーズンからは現在の背番号10番を付けることになりクラブの点取り屋として認められた。このシーズンでは26得点を記録し自身初の得点王となりプレミアリーグ屈指のストライカーまで成長した。16/17シーズンでは29ゴールを決め2季連続で得点王を獲得。そしてファン投票のベストイレブンに初めて選出された。17/18シーズンでは自身最多の30ゴールを決めたが、モハメド・サラーの32ゴールに惜しくも及ばず得点ランク2位の結果に終わった。しかし確実にこの数シーズンでその名を世界に轟かせた。
18/19シーズンでは怪我の影響もあり28試合出場で17ゴールに終わり、20ゴール連続記録が途切れてしまった。それでも、トッテナムをクラブ史上初のCL決勝に導くなど活躍を見せた。
そのプレースタイルは?
ハリー・ケインは今の時代には珍しい生粋の万能型ストライカーだ。彼の右足から放たれる鋭いシュートはどこにいてもゴールを決めることが出来る。それだけでなく逆足やヘッドでもゴールを決めることが出来るのも特徴だ。一瞬のスキを見逃さないハンターなのである。
ゴールを決めるならリオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドなど多くの点取り屋が存在するが、彼らはストライカーと言われれば少し違和感がある。ケインの場合はバイタルエリア付近から自分で持ち運びゴールを決めることもでき、ペナルティエリア内ではクロスに合わせてゴールを決めることも出来る。またフィジカル面でも大柄な体型を活かしたポストプレーも巧みで、スピードも兼ね備えている。そしてパスセンスもありアシストも出来る、まさに万能型のストライカーである。
中でも彼の能力が最大限に発揮されるのはペナルティエリア内だろう。彼がボールを持ちペナルティエリア内に侵入するとどこの角度からでもゴールを狙うことが出来る。足元の技術も高いのでワンタッチで相手選手を置き去りにし、ゴールを決めるのだ。相手選手からすると、ペナルティエリア内で迂闊にボール奪取を試みればPKにつながる可能性が高いだけに、彼の存在は恐怖だろう。
また現代サッカーにおいて重要視されている走ることにおいても彼は優秀である。相手がディフェンスラインでパスを回している時は積極的にプレスに行き相手へプレッシャーを与える。自陣地内でパスを回されている時も中盤付近まで下がって懸命にディフェンスをする。それだけでなく彼はスペースへの動き出しも優秀だ。空いたスペースを見つけるのが上手く飛び出しのタイミングも抜群で、そのままパスをゴールに結びつけることも出来る。またスペースへの動き出しで相手ディフェンダーを引きつけることも出来るので、動き出しでアシストすることも出来るほどサッカーIQも高いのが特徴。
ケインは26歳と成熟期を迎えている。これから更に多くの経験を積み更に成熟していくことだろう。この生粋のストライカーにはこれからもクラブと代表で多くのゴールを量産してくれることを期待したい。
(文:編集部)
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