日本代表のW杯出場はまだ決定していないが、オーストラリアが引き分けたことにより数字上はほぼ確実となった。一昔前は夢物語だったW杯も、今では出場が当たり前になり、緊張感もなくなっていった。応援する側、サポーターはその変化をどう捉えているのか? サッカー批評61で行った座談会より抜粋する。
司会:植田路生(本誌) 構成:金子雄太郎(徹マガ編集部)・澤山大輔(徹マガ編集部)
パネリスト
植田朝日:FC東京ファン。代表応援歴も20年以上。
亘崇詞:ASエルフェン狭山FCコーチ。1991年にアルゼンチンに渡り、ボカ・ジュニアーズとプロ契約を結ぶ。
豊川亮太:ジェフ千葉ファン。コールリーダー。
木崎伸也:ジャーナリスト。2002年にオランダへ渡り、翌年から2009年までドイツを拠点に活動。
五十嵐亘:横浜F・マリノスファン。コールリーダーを務めたことも。
代表に感情移入できない理由
植田 正直に言うと、Jのファンは日本代表にはもう感情移入できなくなっていると思う。自分のクラブの選手がいないんだよ、今のスタメンはほとんどが海外組だから。
豊川 いるのといないので全然違う。
植田 だって巻(誠一郎、現東京V。千葉時代に代表に選出)がいる時楽しかったよな? 中澤(佑二)が中心の時楽しかっただろ?
豊川・五十嵐 そうですね。
植田 今の東京の立場で言うと、大事なナビスコカップがあるときに代表に選手を取られて、その選手がベンチに座ったまま結局試合に出られないし、東京は試合に負けたりする。「えっ!?」と思うよね。クラブ第一に思っている奴は代表を嫌いになる。日本代表ってW杯前とか大事な時じゃなかったら、(チームの)足かせになる時があるよな。WBCの野球ファンの気持ちがちょっとわかる。
豊川 実際にそういう声も結構聞きますよね。
植田 昔はW杯に行ったことがなかったけど、今はそれぞれのチームの奴らもW杯に行くことが夢だった時代から離れちゃってる。毎週やっている連ドラと2時間スペシャル見る違い。代表戦だけ見たい人は、2時間スペシャルを見たいんだよ。だけど、オレらは連ドラだし大河ドラマ。シーズン終わっても、来シーズンに向けてエンドレス。
五十嵐 流れが楽しいですからね。