“ロベリー”の勇姿に熱狂する最後のシーズンに
1つの時代が終わった。18/19シーズンのバイエルン・ミュンヘン。人々が“ロベリー”の勇姿に熱狂するのは、5月18日にアリアンツ・アレナで行われた最終節、対アイントラハト・フランクフルト戦が最後となった。
2009年8月29日に行われた対VfLヴォルフスブルク戦で、“ロベリー”はデビューした。当時の監督はルイ・ファン・ハール。鬼才のオランダ人指揮官は、後半開始からアリエン・ロッベンを、続いて63分にフランク・リベリーをピッチに送り出す。
すると68分、左サイドでリベリーからパスを受けたロッベンが、小刻みなドリブルから左足を振り抜いてゴールを奪う。ベンチの前でファン・ハールはガッツポーズを見せ、アリアンツ・アレナは熱狂の渦に包み込まれた。
さらに80分、カウンターの場面。ロッベンが前方のリベリーにパスを出す。スピードに乗って突き進むフランス代表ウインガー。そしてリベリーから再びパスを受け取るロッベン。オランダ代表ウインガーは、切り返して敵のDFとGKに尻餅をつかせると、今度は右足でフィニッシュした。それから2人はハイタッチを交わし、肩を組み、喜びを噛み締めながら、右のコーナーフラッグに向かって駆けて行った——。
この瞬間の“ロベリー”を形にしたコレオが、フランクフルト戦の試合前、ゴール裏に現れたのである。肩を組んで喜び合う2人。まだ若いリベリーと、まだ頭髪が残るロッベン。デビュー戦で息の合ったコンビネーションで2点を奪ってから、およそ10年後——。白い襟元が特徴の当時のユニフォームに身を包んだロッベンとリベリーが、“最終戦”に現れたのだ。バイエルンを愛する者たちによる粋な演出だった。
“ロベリー”がバイエルンを去ることは周知の事実だった。18年の12月にロッベンは18/19シーズン限りでの退団を公表している。5月5日にはバイエルンが公式HPで同じくリベリーの退団を発表していた。