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Jリーグ 5年前

フロンターレ・田中碧が見せる20歳らしからぬプレー。大きな欠点がないMFの課題とは?【西部の目】

明治安田生命J1リーグ第19節、FC東京対川崎フロンターレ戦が14日に行われ、敵地で川崎Fが3-0と大勝した。川崎のMF田中碧はボランチの一角としてこの試合にフル出場。小学3年生から川崎の下部組織でプレーする田中の、20歳らしからぬプレースタイルを紐解く。(取材・文:西部謙司)

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

完勝した“ほこたて”対決

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川崎フロンターレの田中碧【写真:Getty Images】

 アウェイの多摩川クラシコに3-0で快勝した川崎フロンターレ。今季最高ともいえる内容で首位のFC東京を圧倒していた。

「自分たちのプレーをして、相手にはやらせない」(中村憲剛)

 それができれば勝って当然ともいえるが、それがなかなか難しい。FC東京の武器は堅守と永井謙佑&ディエゴ・オリヴェイラのカウンターアタック、川崎はパスワークが看板。いわば矛盾対決である。

 攻める川崎、守るFC東京という図式で噛み合う。どちらも特徴を発揮しやすい半面、相手の特徴は消しにくい。相手の長所を削ろうとすると、自分たちの長所も消えてしまいかねない。

 例えば、川崎が引いてスペースを消して守れば、FC東京のスピードをコントロールできる。しかし、それでは川崎の良さも半減してしまう。

 その点で、FC東京の良さを出させず、自分たちのペースに引きずり込んだのだから、川崎の完勝といっていい。

 第一に、高い位置からプレッシャーをかけてボールホルダーをフリーにしなかった。パスの出所を抑えたのでロングカウンターを封じることができた。第二に、ショートカウンターをさせなかった。FC東京のプレスを外し、ボールを失わないことでショートカウンターの機会を与えなかった。失わないので相手を押し込めた。押し込めたのでハイプレスが機能した。

 相手を封じる、自分たちの特徴を出す、その両面で田中碧、下田北斗の2人が果たした役割は大きかった。中村憲剛、小林悠の卓越したプレーがあったとはいえ、好守の軸になるボランチが安定していてチームのスタイルにブレがなかった。

【次ページ】未完の完成品

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