久保建英【写真:田中伸弥】
日本代表MF久保建英がレアル・マドリーに加入したことについて、かつて久保が在籍していたバルセロナ下部組織のコーチらは「近年のバルサ最悪の失敗」として悔やんでいるという。スペイン紙『アス』が伝えている。
久保は2011年にバルサ下部組織に入団したが、18歳未満の外国人選手の獲得・登録に関する違反があったとしてスペインでのプレーが不可能となり2015年に退団。帰国してFC東京の下部組織に入団した。
改めて移籍が可能となる18歳を迎え、バルサへの復帰が既定路線ともみられていたが、先月14日に宿敵マドリーが獲得を発表。日本代表として出場したコパ・アメリカ2019(南米選手権)でも評価を高め、マドリーではBチーム所属ながらもトップチームのプレシーズンツアーに参加している。
『アス』はバルサ下部組織在籍時の久保を振り返り、「あらゆる意味で最も愛されていた」「良い意味でマスコットだった」と、プレー以外の面でもクラブの寵児だったと述べている。プレーに関しても「トップチーム到達が見込まれていた」「一時代を築くと考えられていた」と非常に高い評価を受けていたとのことだ。
「(バルサへの)復帰を誰もが確信していた」という状況だったが、実際にその時が来るとバルサは決断をためらったという。マドリーは久保に対してバルサの数倍の年俸を提示したと報じられており、金銭面も理由のひとつだったとみられる。だが一方でバルサは、MFフレンキー・デヨングの代理人の息子である比較的無名のオランダ人DFをBチームに加えるなど、他の選手の獲得に資金を投じている。そういった状況について、過去に下部組織で久保を指導したコーチらは「久保の件は近年のバルサ最悪の失敗」と嘆いていると伝えられている。
バルサには鹿島アントラーズから日本代表FW安部裕葵が加入する。だが安部が今後活躍を見せたとしても、下部組織からバルサの哲学やシステムの中で育とうとしていた久保とは異なる存在。単に1人の選手を逃したというだけでなく、久保を失ったのは「バルサのカンテラの伝統的ポリシーが消えつつある証拠」という見方があるとスペイン紙は伝えている。
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