アルゼンチン代表の主将リオネル・メッシ【写真:Getty Images】
もしアルゼンチン代表が再びタイトルを逃すようなことがあれば、リオネル・メッシは再び代表引退を決断するのではないか。
コパ・アメリカ2019(南米選手権)の準決勝、ブラジル対アルゼンチンを前にして、世界中から集まったメディアの中ではそんな噂がまことしやかに囁かれていた。
結果は0-2でブラジル代表が勝利。試合後の取材エリアには普段とは全く違うピリピリした雰囲気が漂っていた。アルゼンチン代表の多くの選手が無言で通り過ぎる中、ニコラス・オタメンディやセルヒオ・アグエロら一部の選手が取材対応をこなす。
そして最後にメッシが現れた。大会スタッフも厳戒態勢の中、背番号10は最初にテレビカメラの前に止まって10分近く取材に応じると、その後も3回にわたって記者たちの前に止まって丁寧に質問に答えていく。負けても下を向くことなくチームキャプテンとしての責任をきっちり果たした。
懸念されていた代表引退宣言はなし。メッシは「この地平線上には様々な新しいことが見える。僕はチームメイトたちとすごくうまくやれているし、もし助けなければいけないのならそうする。これが真実だ」と今後もアルゼンチン代表としてプレーし続けることを宣言した。
とはいえリオネル・スカローニ監督の去就も不透明だが、メッシは「この素晴らしいチームはすごく成長しているし、今後も加われるのであれば喜んで行く」と手応えを感じている様子。改善すべき点は数多くあるが、タイトルを逃してもチームを見捨てることはないようだ。
もちろん今回のコパ・アメリカの結果に満足は一切ない。試合終了直後、呆然とピッチに立ち尽くすメッシの姿は象徴的だった。世界最高であり続ける10番にとって、次なる目標は来年開催されるコパ・アメリカと、3年後のカタールワールドカップになりそうだ。
(取材・文:舩木渉【ブラジル】)
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