チリ代表の大黒柱アルトゥーロ・ビダル【写真:Getty Images】
コパ・アメリカ2019(南米選手権)は決勝トーナメントに突入。現地28日には準々決勝でチリ代表とコロンビア代表が対戦した。
強度高くハイレベルな戦いが90分続き、両者一歩も譲らず。準々決勝まで延長戦がないレギュレーションのため、0-0のままPK戦となった。最終的にはコロンビアの5人目のウィリアム・テシージョが外してしまい、5-4でチリが準決勝へと駒を進めた。
スコア上は0-0だったが、チリにとっては納得のいくものではなかったのかもしれない。16分にチャルレス・アランギスが、71分にはアルトゥーロ・ビダルがゴールネットを揺らしたが、いずれもVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の介入によってレビューが行われ、ゴール取り消しとなった。
前者は直前のプレーでアレクシス・サンチェスにオフサイドがあったとして、後者はビダルのシュートの直前でギジェルモ・マリパンにハンドがあったとしてVARの対象となった。1試合で2度もVARの介入によってゴールが取り消されるのは異例で、主審にはスタンドから大ブーイングが浴びせられた。
試合後、取材エリアに現れたチリ代表の選手たちは多くを語らなかった。VARに関する質問を避けたかったのか、単にメディアとの関係性があまり良くないのか。記者たちの前に立ったのは、GKガブリエル・アリアスやキャプテンのガリー・メデル、そしてアランギス、ビダル、ホセ・ペドロ・フエンサリダといった重鎮たちのみ。アレクシス・サンチェスは小走りに近い速度でそそくさと通過していった。
記者たちの前で取材に応じたメデルも「VARが介入する度に僕たちはうまく対応し、90分間集中できていた」と述べるにとどまった。ビダルは終始笑顔を絶やさず「僕たちは勝利に値するプレーを見せた。試合を支配し、偉大なチームに対してよく戦った。VARで取り消された2つのゴールも決めていたはずだったけどね」と語っていた。
確かに作ったチャンスの数はチリの方が多かった。先発メンバーを固定していることに若干の不安はつきまとうが、チームとして自信は深まっている様子。フエンサリダは「次の相手がウルグアイになろうとペルーになろうと関係ない。いつだって彼らのうちより優れたどちらかと対戦するものだ。まずは試合を見て、彼らを分析しようじゃないか」と、すでに準決勝に向けて頭を切り替えていた。
チリは3日の準決勝でウルグアイ対ペルーの勝者と対戦予定。もう一方の準決勝のカードは開催国ブラジルと宿敵アルゼンチンが激突することになっている。
(取材・文:舩木渉【ブラジル】)
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