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冨安健洋はボローニャで輝けるか? 南米で感じた大いなる可能性、本人はニヤリと笑い…【コパ・アメリカ】

text by 編集部 photo by Getty Images

冨安健洋
日本代表のDF冨安健洋【写真:Getty Images】

 日本代表の未来を背負って立つセンターバックが、満を持して欧州4大リーグに殴り込みをかける。伊『スカイ・スポーツ』などは26日、ベルギー1部シント=トロイデンVVに所属していたDF冨安健洋が、セリエAのボローニャへ移籍することが濃厚になったと報じた。すでに契約は完了し、近日中にも加入が正式発表される見込みだという。

 果たして冨安はイタリアで活躍できるのか。移籍金は700万ユーロ(約8億6000万円)とも言われ、相応に期待は大きいはず。

 選手情報データベースサイト『transfermarkt』によれば、市場価値は900万ユーロ(約11億円)で、ベルギ−1部でプレーするセンターバックとしては、スタンダール・リエージュのDFジーニョ・バンハウスデンに次ぐ2番目に高い選手とされている。やはり実力と潜在能力への評価は非常に高い。

 実績面でも今季はリーグ戦とレギュラーシーズンとプレーオフ、カップ戦で合計40試合に出場し、日本代表としても毎月のように日本とベルギーを往復しながら過酷なスケジュールの中でもタフに戦い抜いた。1月のアジアカップや、今月のコパ・アメリカでの活躍も記憶に新しい。

 そのコパ・アメリカでは日本代表の副キャプテンも担った。森保一監督も「3試合プレーしてくれましたし、ハードワークもしてくれたと思いますし、我々がやろうとすることを先頭に立って示してくれたと思います」と奮闘ぶりを高く評価していた。

 グループリーグ第2戦のウルグアイ戦前には、指揮官とともに記者会見にも出席した。ちょうどボローニャへの移籍が噂され始め、クラブ幹部が冨安の獲得に向けた動きを認めた頃だった。そこで少々意地悪だが、こんな質問をぶつけてみた。

「ウルグアイにはイタリアでやっているような選手もいて、近い将来、もしかしたらこの夏からそういう選手を止めるのが日常にっていくのではないかと思います。そういう中でチリ戦も踏まえつつ、何を見せたいか、そして何を見せなければいけないと考えているか教えてください」

 冨安は質問の意図を理解したのか、回答する前にニヤリと笑った。そして次のように語る。

「僕個人としてもどれだけ世界で有名なストライカーを抑えられるかは、求めていきたい部分だと思ってこの大会に臨んでいますし、いつも言っていますけど、どれだけ予測して先に先に対応できるかは大事なポイントになってくると思います。明日で言えば(ルイス・)スアレス選手だったりは、僕らの嫌なことをしてくると思うし、いろいろな駆け引きをしてくる中で、相手に主導権を渡さずに、どれだけ自分が主導権を握ってやれるかも意識して明日プレーしたいと思います」

 迎えたウルグアイ戦、スアレスではなかったが、冨安はホセ・マリア・ヒメネスに「先に」動かれた。66分、コーナーキックの場面でマークを振り切られ、ニアサイドに飛び込んだヒメネスに痛恨の同点弾を許してしまった。

 それ以外に冨安が完璧に上回られたシーンは、大会を通じてほとんどなかった。チームとしては3試合で7失点を喫しているが、20歳のセンターバックが空中戦の競り合い、被カウンター時のカバーリング、ビルドアップへの貢献……日本代表の中でも際立った活躍を見せていたのは間違いない。ただ、結果に表れているようにまだまだ世界のトップへの道のりは長い。

 だからこそボローニャでの日々が重要になる。ライバルはスウェーデン代表のフィリップ・エランデル、U-21イタリア代表のアルトゥーロ・カラブレシ、ベテランのブラジル人DFダニーロ(レンタル元のウディネーゼからの買い取りが実現すれば)など多士済々。そこに割って入り、シニシャ・ミハイロビッチ監督からイタリア式の守備戦術を仕込まれてセンターバックとしての完成度を高めたいところだ。

 2年前までJ2でプレーしていた選手が、欧州へ渡り、日本代表に定着し、ついに4大リーグに挑戦する。セリエAの中堅からビッグクラブへと飛び立った例は数知れず。南米の地で大いなる可能性は示した。イタリアでは世界中から集まるタレントの中で冨安も経験を積んで、さらにスケールの大きなセンターバックへと進化できるはずだ。

(取材・文:舩木渉【ブラジル】)

【了】

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