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日本代表 5年前

久保建英と中島翔哉。「非常にやりやすい」と語る2シャドーは、チリ守備陣をどう崩すか?【コパ・アメリカ】

日本代表は現地時間17日、コパ・アメリカ2019(南米選手権)のグループリーグ初戦となるチリ代表戦を迎える。日本は3-4-2-1の布陣で臨むことが濃厚。カギを握るのは、中島翔哉と久保建英が並ぶ2シャドーとなるだろう。(取材・文:元川悦子【サンパウロ】)

text by 元川悦子 photo by Getty Images

3-4-2-1でのスタートが濃厚

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2シャドーの一角での出場が予想される中島翔哉【写真:Getty Images】

「チリはコパ・アメリカで2015・16年に優勝している偉大なチーム。最低でも勝ち点1を拾っていけるような粘り強い戦いをしたい」

 森保一監督が現地時間16日の前日会見で力強く語った通り、17日のコパ・アメリカ初戦・チリ戦は、東京五輪世代中心の若き日本にとって非常にハードルの高い相手だ。勝ち点3奪えれば最高のシナリオだが、勝ち点1を確保しておけば、グループリーグ突破につながる確率も上がる。8強入りを現実にするためにも、今回は守備第一の戦いが求められてくるだろう。

 指揮官は「システムはこれから考えます」とぼやかしたが、U-22世代のここまでの積み重ねを考えると3バックでのスタートが濃厚だ。ただ、相手が攻め込んでくる時間帯は両ウイングバックが下がって5バック気味になることも想定される。

 そういう状況下でゴールをこじ開けようと思うなら、前線に爆発的なスピードと打開力、決定力が必要になってくる。今回は1トップに韋駄天・前田大然、2シャドーに久保建英と中島翔哉という前線3枚で勝負を賭ける可能性が大だ。

久保建英と中島翔哉の2シャドーの強み

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1トップでの出場が予想される前田大然【写真:Getty Images】

 前田であれば50mを5.7秒で走るスピードとJリーグ屈指のスプリント力、中島翔哉なら多彩な仕掛けと思い切りのいいフィニッシュ、久保建英にはギリギリまで判断を変えられる柔軟性と時限の視野の広さ、高度な打開力という武器がある。

 際立った個性を備えた3人が前線に陣取れば、ガリー・メデルとギジェルモ・マリパンという国際経験豊かな両センターバックが率いる守備陣もどこかで綻びが生じるはず。そのスキを突くことができれば、日本のジャイアントキリングもあり得るのだ。

「翔哉君と建英が後にいる場合? 自分は前線に張っておけばボールが来ると思う。逆にDFの背後に抜け出せばスペースが空くので、2人の打開力を生かしながらプレーもできるし、自分のよさも生かせる。どれだけ僕がゴール前で仕事できるかというのがとても重要になってくる」と前田は「3人の生かし生かされる関係構築」に注力しているが、それが短時間で叶えば日本攻撃陣は確実に活性化する。

 久保建英とは3月のAFC・U-23選手権最終予選でコンビを組んでいて慣れがあるし、タテのホットラインを形成しやすい。その利点を最大限駆使できれば作業はスムーズに進むだろう。

「こっちが優勢で試合を運べる展開にはならない」

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久保建英は2シャドーについて「非常にやりやすい」と話す【写真:Getty Images】

 一方、中島と久保の2シャドーも今回が本格的な国際舞台デビューとなる。9日のエルサルバドル戦で2人は後半22分から揃って登場し、4-2-3-1の2列目でプレーしたが、3-4-2-1の2シャドーで並ぶ形は、FC東京時代もほぼ経験がない模様だ。

 それでも久保は「2シャドーだとシャドーの位置が近くなるんで、1人でグイグイってよりは、どっちかというとすぐ近くに仲間っていうか、味方がいるんで、連携とかが大事になってくるのかなと。そのうえでシャドーにいる選手はボールタッチや判断とかがすぐ変えられる選手なので、非常にやりやすいなとは思いました」と、A代表の国内合宿の際、2シャドーの優位性を口にした。

 かつての同僚で息の合ったプレーができる中島とのコンビなら、お互いのよさがさらに引き立つだろう。彼らが織りなすコンビネーションがチリという強敵に通用するかどうか。そこは見極めなければならない点だ。

 久保自身もエルサルバドル戦とチリ戦は全く別物だと捉えている。プレー強度も違えば、個々の能力も全く違うというのは、少年時代からスペインでプレーし、その後も年代別代表で世界中を駆け回ってきた18歳のアタッカーならよく理解できるはずだ。

「この前の試合はいい展開の中で出場して、プレッシャーもあんまりなくて、あれくらいはやらないといけないだろうというのはあったんですけど、今回はそういった余裕もないですし、こっちが優勢で試合を運べる展開にはならないと思う。劣勢になる時間帯もあるので、そんな中で個人として何ができるのかというところにフォーカスしていけたらいいと思います」と彼は自らのやるべきことをしっかりと心得ている。

「成長していくために大切な3試合」

 押し込まれた状況の仕事というのは、もちろんカウンターからのスピーディーな仕掛けであり、伝家の宝刀であるFKだ。チリの屈強なDF陣に中島と久保の切れ味鋭いドリブル突破が通じるかは未知数な部分もあるが、彼らが何枚も相手をはがしてくれれば、日本はゴールに近付ける。そのうえで、好位置から直接FKを決めてくれれば最高だ。

 エルサルバドル戦では終盤のFKを中島に譲った久保だが、今回は「自分に蹴らせてくれ」とアピールするのではないか。そのくらいの日本人離れした積極性と闘争心があるから、彼はレアル・マドリーという名門クラブからオファーをもらえるまでになった。その実力のほどを世界中の人々が見守るコパ・アメリカという舞台で示せれば、評価はさらに上がるだろう。

 それは中島にしても同様だ。チリという世界トップの相手を敵にしたとき、「日本をさらに上のレベルに引き上げられる存在」だと2人揃って実証してくれれば、日本代表の未来は明るい。

「日本サッカーがより大きく成長していくために大切な3試合だと思う」とベテラン・川島永嗣も言うように、チリ戦は森保ジャパン新時代の幕開けとなる可能性を秘めている。それを大いに印象付けるべく、攻撃陣には力強く大胆なパフォーマンスを強く求めたい。

(取材・文:元川悦子【サンパウロ】)

【了】

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