日本代表の森保一監督【写真:Getty Images】
日本代表は9日、国際親善試合でエルサルバドル代表に2-0の勝利を収めた。
この試合では5日のトリニダード・トバゴ戦から先発メンバーを6人入れ替えたが、森保一監督は前日記者会見での宣言通り「3バック」を継続して採用。サムライブルーの新たなオプションとして手応えを得たようだ。
「今回トライしようとしたことは、選手たちが前向きにチャレンジしてくれて、できたかなと思います。もちろん3バックをやるという部分でも、パーフェクトではないですし、まだ最初の一歩を踏み出したところだと思いますが、選手たちがいい感覚を持って1つのオプションができるような戦い方ができたと思っています」
森保監督はエルサルバドル戦後の記者会見で、3バック導入計画の現在地に言及した。トリニダード・トバゴ戦では攻守にちぐはぐなシーンも見られたが、エルサルバドル戦ではそれらが大きく改善されていた。もちろん相手のクオリティに差はあれど、9月に始まるカタールワールドカップのアジア2次予選に向けてチームの戦い方の幅が広がったのは間違いない。
中でも目に見えて変わっていたのが、ディフェンスラインから前線へとボールを運ぶビルドアップの部分だった。3バックの左右の選手が高い位置を取り、両ウィングバックもFWと同じくらいのラインまで張り出す。基本的な動きではあるが、両サイドの連動性は確実に向上していた。森保監督も選手たちの改善に向けた取り組みを称える。
「3バックでそのままビルドアップする部分と、ボランチが1人ディフェンスラインに降りてビルドアップして、より幅を使いながら、探りながら高い位置にボールを運ぶということ、そこからセンターバックが前線のスペースに侵入していくという部分は、1試合目のビデオを見ながら確認して、昨日のトレーニングでも確認ながら今日の試合に臨みました。選手たちは限られた時間の中でいいイメージを持ってトライしてくれたと思っています」
実際、1点目は3バックの右に入った冨安健洋のパスが、2点目も3バックの左を担った畠中槙之輔の縦パスが起点になっていた。ともにトリニダード・トバゴ戦よりも前にポジションを取って、積極的にビルドアップに絡んでいたのも印象的だった。
「今回の2得点ともディフェンスラインからのパスが起点となってゴールに結びついたと思いますので、チームとしてこれからも続けていけるように、さらにクオリティを上げていけるようにしていきたいと思います」
終盤には3バックから4バックへの、交代を活用してのシステム変更もスムーズに遂行された。森保監督は状況によってシステム変更を用いながら柔軟に対応できるようになってきたことが「今後の戦い方に生きてくる」と語る。9月以降、ワールドカップ予選などが始まり、どんな場面で今回取り組んだ3バックが採用されるか興味は尽きない。
(取材・文:舩木渉)
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