驚くべき「コミュ力」の高さ
やはり久保建英という男は規格外だ。初めて合流した日本代表とは思えないほど、チームにすんなり馴染んでいる。本人は「集合の時は緊張しましたけど、グラウンドに入ったらあまり(緊張しない)ですね」と語ったが、その言葉に嘘はない。
2日に初めて練習を行った際は、同年代のGK大迫敬介と一緒にバスを降り、練習前に言葉を交わしているのもFC東京でチームメイトのMF橋本拳人やDF室屋成だったが、翌日にはFW大迫勇也や槙野智章、岡崎慎司、原口元気といった重鎮たちの輪の中に入って楽しそうにボールを蹴っていた。
たった1日で先輩たちの懐に入っていくコミュニケーション能力の高さは図抜けている。森保ジャパンのこれまでの合宿を見ていると、どうしてもグループ分けがはっきりしがちだった。海外組は海外組で、国内組は国内組で……といったように、比較的属性のわかりやすいグループが練習中に自然とできてしまっていた。
そこに18歳の誕生日を迎えたばかりの少年が現れ、一瞬で風穴を空けた。久保は「自分からというよりは、混ぜてもらって、みんな優しいです」と謙遜するが、どう見てもただ可愛がってもらっているだけではない。日本代表は完全に実力主義の場所。彼はその「実力」をピッチ内外で他の選手たちに認めさせたのだ。
もう1つ驚いたのが、我々メディアが見られる範囲の中で最も長く久保の隣にいた選手の存在である。橋本でも室屋でもなければ、槙野や長友佑都でもない。それは小林祐希だった。左利きの天才肌同士で話が合うのか、3日から4日にかけて練習が始まる前から、ストレッチ中などもずっと2人で話し込んでいた。
小林は「サッカー選手なんてパス1本つなげばすぐ仲間になれるので、サッカーっていいなと思います」と久保との関係性についての質問をかわしたが、違和感なくチームに溶け込んだ姿には感心している様子だ。