日本代表の森保一監督【写真:田中伸弥】
日本サッカー協会(JFA)は24日、来月14日にブラジルで開幕するコパ・アメリカ2019(南米選手権)に挑む日本代表メンバーを発表した。日本代表はコパ・アメリカのグループリーグでチリ代表、エクアドル代表、ウルグアイ代表と対戦することが決まっている。
23人中、13人が初選出。いずれも東京五輪世代の選手たちで、冨安健洋やキリンチャレンジカップ2019に挑むメンバーにも選出された久保建英、大迫敬介らを合わせれば18人がこの世代となる。
「若い選手がたくさんコパ・アメリカという素晴らしい大会に出られることによって、選手の成長につながり、来年の東京オリンピックにもプラスになると思っています。東京オリンピックで我々は金メダルを取ろうと思っています。そのためにはA代表で活躍できるくらいの力を持った選手が東京オリンピックに出て、戦うということでなければ目標達成は難しい」
森保一監督はこう語っている。そして「ブラジルに行って、経験するだけのつもりはない」と勝利にこだわる意思も示した。
南米最強を決めるビッグトーナメント、コパ・アメリカ。日本代表にとって、ましてや五輪世代の選手にとっては得がたい経験だろう。グループリーグで対戦する国だけを見ても、アルトゥーロ・ビダル(チリ)、ルイス・スアレス、エディンソン・カバーニ、ディエゴ・ゴディン、ホセ・ヒメネス(以上ウルグアイ)など、世界のトップオブトップが名を連ねる。
スピード、パワーなどあらゆる面で親善試合とは全く異なるクオリティをぶつけてくるはず。そうしたものを肌で感じることで、東京五輪世代の選手たちのレベルアップに繋がるだろう。そして、ブラジルの地で一定の成果をあげることができれば、森保監督が掲げる東京五輪での金メダルも夢ではなく現実的な目標となる。
ただし、心配も大きい。南米のビッグトーナメントで経験や糧、自信だけを持ち帰ることができるだろうか。局面の激しさは普段体感しているものとは全く違うはずで、スタジアムの空気に圧倒されることもあるだろう。日本が先制しようものなら、相手の殺気はそれこそ経験したことのないものになる。
かといって、少しでも怯んだらズタズタにされる。そうした極限の環境でも力を発揮し躍進できれば万々歳だが、これまでのキャリアで積み上げてきたものを根こそぎ刈られるほどの精神的ダメージを受ける可能性もなくはない。トラウマだけを植えつけられて大会を去るのでは、来年の東京五輪という“本番”が不安になってしまう。
どのように戦い、どのように勝つのか。監督以下スタッフが若い選手たちにしっかり授けなければ、そして他ならぬ選手たちがいつも以上の力を発揮できなければ、悲惨な結果も覚悟しなければならない。
【了】