長谷部誠【写真:Getty Images】
フランクフルトの長谷部誠が、2018/19シーズンを振り返り、「複雑な心境」と語った。
現地時間18日、ブンデスリーガ最終節が行われ、フランクフルトは優勝が懸かっていたバイエルン・ミュンヘンに1-5で大敗した。7位でシーズンを終えたフランクフルトは来季、ヨーロッパリーグを予選から戦うことが決まっている。
ただ、ヨーロッパリーグで準決勝まで進んだことや、ブンデスリーガでチャンピオンズリーグ出場権獲得に届きそうな位置にいたことを考えると、「複雑な心境」だと長谷部は話した。
バイエルン戦を終えたあと、長谷部は「両方の思いが入り交じっている」とコメント。「もちろん、素晴らしいシーズンだったとも言えると思うし、逆にラストスパートのところで、自分たちがいたポジション、残り6試合のプレーを考えれば、やはりリーグでもより良い結果を取れたんじゃないかなという思いももちろんある」と語った。
それでも、得られたものは小さくないはずだ。「よく言う二兎追うものは一兎をも得ず、ということで、自分たちはチャンピオンズリーグ(出場権)もヨーロッパリーグ(優勝)も追っていた中で、その2つを両方とも取れなかった。だけど、その二兎を追わないと、やっぱ感じられなかったことっていうのは今すごく感じている部分もある。それを追えるチームっていうのもなかなかない。これだけの選手層でこういうチャレンジをした意味っていうのは考えなきゃいけない」と、悔しさと手応えが混ざっている様子だ。
「個人的にも非常に充実したシーズンだった」と長谷部は続け、「この2つの大きな目標を目指して、自分もほとんどフルで駆け抜けてきた。駆け抜けてきた感じるものはすごく大きかったと思う。まあだから、満足まではしていないんですけど、すごく実りあるものでした」と話した。
ブンデスリーガで終盤6試合勝てなかったことにも触れている。ヨーロッパリーグの疲労の影響は指摘されていたが「コンディションというか、正直ローテーションするだけのクオリティがなかったというのは感じていた」と長谷部。「その中で立て直す力ですよね。ヨーロッパリーグはスタジアムの雰囲気とか、そういうもので良いゲームができていたんですけど、そこにかけるパワーが強すぎてリーグ戦になると少し…」と指摘している。
ただし長谷部は、「ヨーロッパリーグに比重を置いていたわけでもない」と理解している。それでもパフォーマンスにムラが生じたのは「たぶん自分たちの経験不足。ヨーロッパの舞台に常に立っているクラブだったら、選手たちだったら、おそらくそこは何かあるんでしょうね。それを今回、自分たちで戦ってみて肌で感じた部分もあります」と述べた。
フランクフルト躍進の大きな要因の一つになった長谷部。「この歳になって、こういう舞台で充実してやれるというのは幸せなこと」と感じつつも、「良いシーズンを送った次のシーズンは非常に難しい。来季に対するモチベーションをしっかり休んでから考えたい」とすでに気持ちを引き締めている。日本代表から引退している長谷部は、幸いにも「十数年ぶりに代表のないオフ」を過ごせる。英気を養って、来季のさらなる進化に期待したい。
(取材:本田千尋【フランクフルト】、文・構成:編集部)
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