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Jリーグ 6年前

トリニータはなぜ、J1でも勝てるのか? 強化部長が語る強さの理由【大分トリニータ V字回復の軌跡(前編)】

今季、6年ぶりにJ1に復帰した大分トリニータが躍進している。J1在籍経験がありながら初めてJ3に降格したクラブとなった衝撃から4年。そこから今日に至るまでの大分の歩みはさながらジェットコースターのようだ。チームが復活を遂げる過程をつぶさに取材してきた大分番記者ひぐらしひなつ氏が、キーマンと言える片野坂知宏監督と西山哲平強化部長の話を軸にV字回復の背景をレポートした5/7発売の「フットボール批評issue24」から一部を抜粋して公開する。今回は前編。(文:ひぐらしひなつ)

text by ひぐらしひなつ photo by ⒸOITA F.C. , Hinatsu Higurashi

フロントが共有したつねに立ち返る場所

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西山強化部長【写真:Hinatsu Higurashi】

 前年に築いたものを継続しながら積み上げ続けることで、効率的にチームの力を向上させることができる。その軸をブレさせないための秘訣は「つねに立ち返る場所を確かめ合うこと」だと西山強化部長は言う。

「負けたときは僕は現場には何も言わない。ただ、いい試合をして勝ったときに『これこそ目指していたものですよね』と監督たちと話す。僕の仕事は現場をオーガナイズして気持ちよくやってもらい、より力を出してもらうこと。悪いときにはいいときのことを鮮明に思い出してもらいたい。いいものを明確化して、悪いときには修正するのではなく、そこに戻りましょう、と確認します」

 そうやって現場とフロントが共通認識の下で育ててきたのが、「前線にボールを入れるだけでなく、関わり、全員が連動するサッカー」だ。これが「J1でも戦えるチーム」へと繋がっていく。2019年J1での試合で言えば、第4節のマリノス戦がそれに相当するという。

 J1では「予算規模で言えばダントツで最下位」(西山強化部長)のトリニータは、他のビッグクラブとは異なり、高額年俸のプレーヤーを抱えることは難しい。決定力のあるストライカーを獲得することが好成績への最短距離なのかもしれないが、一般的な認識としては、ストライカーが最も高額だ。

 そういう意味でも片野坂監督の組織的なサッカーは理にかなっていると言える。独力で得点できるストライカーが不在でも、グループで局面を打開していくスタイルなら、ビッグクラブに太刀打ちできる可能性が出てくる。そしてそういうスタイルは、プレーヤーにとっても往々にして魅力的なものだ。

「この業界では点を取る選手が評価されがちですが、僕はその試合で何が効いているのかを見るようにしています。ラストパスのひとつ前のパスを効いていると評価する人もいれば、点を取らなきゃ評価しないという人もいるかもしれないけど、あの選手のカバーリングがすごく効いていたとか、彼があそこにいたから相手はパスを出せなかったよねとか、そういう評価もしてあげなきゃいけない」

★後編はこちら★

(文:ひぐらしひなつ)

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『フットボール批評issue24』

定価:本体1500円+税
Jリーグの序盤戦も終わるころ、それぞれのチーム状況も徐々に明白になってきた。その中で大きな変化を見せる3つのクラブがある。
過渡期を経て、魅力的な攻撃サッカーを具現化している横浜F・マリノス
J2降格からチームを刷新し独自のスタイルを築き上げてきた名古屋グランパス
一時J3という深淵を見るも、再びJ1の舞台へと戻り、躍進している大分トリニータ
今号のフットボール批評では3つのクラブがV字回復を遂げた要因をそれぞれのキーパーソンへの取材から明らかにしていく

詳細はこちらから

【了】

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