指揮官も絶賛した2アシスト
川崎フロンターレは相次ぐ負傷者に悩まされている。谷口彰悟、守田英正、馬渡和彰は復帰したものの、阿部浩之、車屋紳太郎、中村憲剛はまだ離脱中で、さらに奈良竜樹も左ひざの内側側副じん帯損傷と内側半月板損傷で手術を受け全治4ヶ月と診断された。
2連覇を果たした昨季の主力の約半数が不在。チームとしても決して万全の状態ではない。そんな中でも、現在リーグ戦は4連勝中だ。序盤戦はなかなか勝ち星を掴めていなかったが、ここにきて負傷者が続出する状況下でも連勝できている要因には、これまで“脇役”だった選手たちの台頭と健闘が挙げられるだろう。
キャプテンの小林悠も「こういうけが人がいる中でもいろいろな選手が出て活躍できて、チームとしてすごく底上げができていると思います」と、激しさを増す競争と着実な成長に手応えを感じている。
中村や守田、大島僚太が離脱している間には下部組織から昇格して3年目の田中碧が中盤で大きな存在感を発揮し、最終ラインでも加入から2年間でリーグ戦出場ゼロだった舞行龍ジェームズが谷口不在の穴を埋めた。3日に行われたJ1第10節のベガルタ仙台戦では、新加入のブラジル人センターバック、ジェジエウが力強いプレーでスタンドから喝采を浴びた。日本代表経験のある齋藤学のドリブルも、往時のキレを取り戻しつつある。
そして大卒プロ2年目の脇坂泰斗も、ピッチ上で成長した姿を披露した1人だ。昨季はリーグ戦で出番を得られなかった下部組織育ちのMFは、J1第8節の湘南ベルマーレ戦で終盤に途中出場してJ1デビュー。続く神戸戦は先発濃厚とされながら直前の負傷で欠場したものの、第10節の仙台戦でJ1初先発を飾った。
「(先発だと)知ったのは前日だったので、少し驚きはあったんですけど、そのための準備はしていたので、やるだけかなという気持ちでいました」
そう語る23歳は、ようやく訪れたチャンスで鮮烈なプレーを披露し、2アシストという目に見える結果も残した。フロンターレの鬼木達監督も「あれぐらいはやってくれるだろうなという予想はしていました」と初先発での活躍を称えた。
「組み合わせのところを含めて、彼がイキイキする形になるだろうなと。あとはチームの中で潤滑油としての役割を期待していました。それプラス得点に絡むというところですね。本人が取れれば一番良かったと思いますけど、本当にいい活躍だったと思います」