フランクフルト、ELで最後のホームゲーム
夢は潰えなかった。アイントラハトを愛する皆で紡いできた、夢のような物語。気付けば頂上の1つ手前まで辿り着いていた。5月2日に行われたヨーロッパリーグ(EL)準決勝1stレグ、迎え撃つはチェルシー。
3トップにはウィリアン、オリヴィエ・ジルー、ペドロ。ベンチに目を遣ればエデン・アザール、ゴンサロ・イグアイン…錚々たる顔ぶれが乗り込んできた。だが、光に溢れたコメルツバンク・アレナは怯まない。ゴール裏を覆い尽くす圧巻のコレオ、無数に揺らめく旗、アイントラハト・フランクフルトを信じる者たちが振り絞る、夜をつんざく咆哮――。
「本当にここは総力戦だと思う」
長谷部誠はそう考えている。久しくセバスティアン・アレは負傷離脱中、さらにアンテ・レビッチは出場停止。今季の破壊的な攻撃を支えてきた2人を欠いて、フランクフルトはチェルシーに挑んだ。
「もちろんね、アンテ(・レビッチ)のスピードだったり、セバスティアン(・アレ)のボールを前でキープできる体の強さとか、そういうものは今のチームには、今日だけではなくてブンデスリーガでもちょっと欠けているんですが、ただ、いない選手の話を言ってもしょうがないので。今日なんかは逆にいない選手じゃなくて、いる選手でどう良く戦うかというところで、前半なんかは非常にいい形で来ていたと思う」
長谷部によれば、試合が始まって間もなく、フランクフルトの選手たちはチェルシーをリスペクトし過ぎていたという。
「繋げるところで蹴っちゃったりとか、ビビって蹴っちゃったりとか、そういったことはありました。その辺を、僕や経験ある選手にボールを集めて落ち着かせないといけないかなと、やっていても感じましたね」