DFラインと並んでプレーするGK
今季の大分トリニータはJ1で最もモダンなプレーをしているチームかもしれない。
フォーメーションは3-4-2-1。後方のビルドアップにGKが加わるのは、かつてのサンフレッチェ広島や浦和レッズでも見られたが、大分の高木駿はほぼディフェンスラインに並ぶポジションまで上がっている。GKが加われば確実に数的優位は作れる。相手のフィールドプレーヤーが10人なのに対して、大分は11人になっているからだ。敵がGKまでハイプレスでハメようとすれば、GKが大分のFWをマークするしかないわけだ。
ただ、大分がそこまでしてボールを確保するのはポゼッションのためではない。もちろんボールを確保したいのだからポゼッションも目的なのだが、そもそも後方のポゼッションはそれ自体が目的ではない。というより、あらゆるボールポゼッションはボールを保持すること自体が目的ではない。
逆説的な言い方になるけれども、後方でのポゼッションの目的の半分はカウンターアタックにある。大分の後方ポゼッションからのカウンターへの移行はそれがよく表れている。
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