香川がもたらした変化と結果
綺麗なワンツーだった。80分、ペナルティエリアの手前。左のアデム・リャイッチからのパスを、香川真司は倒れながら、左足ダイレクトで前方へ出す。絶妙なリターンを受け取ったリャイッチは、敵のGKを嘲笑うように、チップキックで軽やかにゴールを決める。4月28日に行われたスュペル・リグ第30節。3-1とリードを広げていたベシクタシュが、アンカラキュジュを突き放す。
香川は64分からの途中出場だったが、久々に「アシスト」という「結果」を出したことに、一定の手応えを得たようだ。
「ここ数試合、結果というものがついてこなかったので、そういうアシストっていうのは次に繋がると思います」
“技術者”同士のコンビネーションが、いよいよ成熟してきたのだろうか。リャイッチとは「イマジネーションの共有」が可能であることを語っていた香川。「違う変化をチームに与えて、ゴールまでしっかりと繋げて、結果を残していければいい」。セルビア代表のテクニシャンとの共演で、チームにポジティブな効果をもたらそうとしていた。
4月13日のイスタンブール・バシャクシェヒル戦では、リャイッチからのリターンで日本代表MFがループでゴールを狙うなど、兆しはあった。だが、「ゴールまでしっかりと繋げ」ることができたのは、このアンカラキュジュ戦が初めてのことだ。
もちろん試合も終盤に差し掛かり、敵の守備が少し緩んでいたところもある。それでも密集地帯での正確なプレーは、香川ならではの持ち味。それこそリャイッチを除けば、同様のパスを出すことができそうな選手はベシクタシュの中に見当たらない。