バブンスキー兄弟対決が実現
サッカー界において親子でプロになった選手や、兄弟ともにプロ選手であることは決して珍しくない。日本のJリーグにおいても、数々の親子選手や兄弟選手が活躍してきた。
例えば水沼貴史氏と現セレッソ大阪の水沼宏太、名古屋グランパスの風間八宏監督と風間宏希、風間宏矢、大宮アルディージャの高木琢也監督と柏レイソルの高木利弥は、それぞれ親子でJリーガーだ。兄弟にしても佐藤勇人・寿人、森崎浩司・和幸の双子をはじめ、先述の風間兄弟など数多くいる。
では外国人ならどうか。父ハーフナー・ディドと兄ハーフナー・マイク、弟ハーフナー・ニッキは、日本に帰化しているが厳密な血筋でいえばオランダ人だ。2015年に藤枝MYFCに在籍したラドスラフ・カミンスキーは、現ジュビロ磐田のGKクシシュトフ・カミンスキーの兄だった。川崎フロンターレの舞行龍ジェームズは日本に帰化しているがニュージーランド出身で、弟のアイザック・テレ・フィッツジェラルドも一時期JFL時代のツエーゲン金沢に所属していたことがある。
他にも川崎Fなどでプレーした兄マルキーニョとFC岐阜や福島ユナイテッドFCでプレーした弟ロドリゴ、現横浜FCのレアンドロ・ドミンゲスと徳島ヴォルティスなどに在籍したクレイトン・ドミンゲス、ブラジル人の彼ら2組も兄弟Jリーガーだった。
バブンスキー家もJリーグの歴史に名を刻んだ。1996年から1998年にかけてガンバ大阪に所属したボバン・バブンスキーを父に持つダヴィッド・バブンスキーと、その弟のドリアン・バブンスキーは共に2017年から日本でプレーしている。
この一家が他と違ったのは、親子と兄弟でJリーガーとなっただけでなく、外国人としてはおそらくJリーグ史上唯一の「兄弟対決」を実現させたことだ。2019年4月21日、明治安田生命J2リーグ第10節のFC町田ゼルビア対大宮アルディージャで歴史的な瞬間が訪れた。
79分が過ぎ、もうすぐ残り10分というタイミングで先に大宮ベンチが兄ダヴィッドの投入を準備し、タッチライン際に立たせる。するとコーナーキックで交代を止めている間に、町田のベンチから弟のドリアンも交代のためユニフォームを着て兄に並び立った。