「自分は守備の選手ではない」。のぞかせたプライド
人生で2度と手に入らない、異郷で過ごす日々――。
4月13日に行われたスュペル・リグ第28節。首位のバシャクシェヒルをホームに迎えた試合で、香川真司は、後半の61分からピッチに入った。スコアは2-1でベシクタシュがリード。シェノル・ギュネス監督が背番号23に求めたミッションは、バシャクシェヒルのワンボランチ、エムレをケアすること。
「5番のキャプテンが、前半から非常にポゼッションする相手チームでキーになっていたので、彼がワンボランチのところで上手くセンターバックからボールを引き出して、前に配給していたので、それを上手くコントロールして5番を抑える、パスコースを消すっていうことは求められていました」
負傷したガリー・メデルに代わった香川は、2-1のスコアを大事にしながら、与えられた守備のタスクを忠実にこなしていった。もちろん指示の範囲に留まるだけではない。ベシクタシュがボールを持てば、攻撃の選手としてゴールに向かった。
「もちろん自分が入って勝ち点3をこぼすことは、途中出場の選手にとっては一番避けたいところではありますので、そこはやらせてはいけない。ただ、自分は守備の選手ではないので、失点に絡むということはなかなかないと思いますし。それ以上に、隙あらば3点目を取りに行かなければならない、チームを助ける、得点を取りに行かなければならない…だから両方のマインドをね、上手く持ちながら、コントロールしながら、隙あらば常に狙う、っていうものは示していこうとは思っていました」
「自分は守備の選手ではない」――。その言葉の奥に、アタッカーとしてのプライドを覗かせた香川。アデム・リャイッチとのコンビネーションからループでゴールも狙った。ふわりと浮いたシュートはバーの上に外れたが、「感覚としては悪くなかった」という。