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世界最先端のコンディショニング理論が覆すサッカーの常識。“ただ走る”トレーニングで本当に選手は“速く”なるのか?

コンディショニングの常識を覆し、世界で着実に浸透しているサッカーのピリオダイゼーション理論。最新号の『サッカー批評issue67』(双葉社、3月10日発売)では、同理論を提唱するレイモンド・フェルハイエンに師事し、日本人唯一の公認インストラクターである相良浩平にコンディショニングの新常識について話を聞いている。

text by 鈴木康浩 photo by Yasuhiro Suzuki , J-DREAM

【サッカー批評issue67】掲載

“素走り”トレーニング特化への警鐘

世界最先端のコンディショニング理論が覆すサッカーの常識。“ただ走る”トレーニングで本当に選手は“速く”なるのか?
相良浩平氏【写真:鈴木康浩】

 時計の針は後半35分を指している。味方の中央突破が相手センターバックに食い止められた。カウンターがくる。攻撃に駆け上がっていたワイドの7番が、対面のサイドバックにつかなければいけないシーンだが、ここで7番が疲れてしまい戻れないとしよう。

「この場面を見たときに、あの選手は走れていないから走れるトレーニングをしよう、と判断するのが従来のコンディショニングの考え方でした。しかし、ここでクーパー走などボールを使わない、ただ走るだけのトレーニングを課すことで目的がより長く走ることにすり替わってしまう。その数値が上がったからといって、本当にこの場面で7番が素早く戻れるだけのコンディションを得ることができるでしょうか」

 熱弁を振るうのは相良浩平である。1月に開催されたワールド・フットボール・アカデミー主催の「サッカーのピリオダイゼーション」セミナーでは、日本人唯一の公認インストラクターの相良が日本人向け講義の講師を任されている。

 同機関はフットボール関連の情報をセミナーなどを通じて指導者や選手に提供し、現在世界中に急速に広がる。世界共通という資料はすべて英語表記で、相良が書き込むホワイトボードにもアルファベットが並ぶ。

「この場面で、7番は走れない、と表現するからトレーニングも走ることに注力してしまうんです。本来、7番の動きはサッカー的にいえば、攻守の切り替えが維持できていない、と表現すべきです。だから我々はしっかりとサッカーを分析することから始めて、サッカーの性質を崩さないようにサッカーを発展させていかなければいけない」

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