敵対心を向けるセカンドチームの選手たち
ひと冬の経験が、17歳になる直前のホープを内側から変えた。異国の地で目の当たりにしたカルチャーショックが、すでにセレッソ大阪から正式なオファーを受けるなど、卒業後の進路へ熱い視線が注がれているFW西川潤(神奈川・桐光学園2年)を、ちょっぴり“大人”にした。
昨夏のインターハイ準優勝と得点ランキング2位の6ゴールという実績を引っさげ、主役を演じることを夢見ながら臨んだ初めての全国高校サッカー選手権大会。1回戦で大津(熊本)に0-5でまさかの惨敗を喫し、年を越す前に大舞台から去ることを余儀なくされた西川は、いまにもこぼれ落ちそうな涙をこらえながら必死に前を向いていた。
「向こうで自分のプレーの幅というものをいろいろと広げて、海外でどのくらい通用するのか、ということを踏まえながら今後の進路を決めていきたい」
練習参加のオファーを受けていたブンデスリーガの強豪、バイヤー・レバークーゼンへ合流するために日本を旅立ったのは1月中旬。U-16日本代表が優勝した昨秋のU-16アジア選手権でMVPを獲得した西川の才能と将来性を、レバークーゼン側は高く評価していた。
ドイツで何が待っているのか。どんな未来が開けるのか。出発前から脳裏を駆け巡っていた期待や興奮はしかし、現地へ到着し、ピッチへ足を踏み入れた瞬間に跡形もなく吹き飛ばされた。セカンドチームの選手たちの立ち居振る舞いから、招かれざる存在であることがすぐにわかった。
「コーチングスタッフの方々やスカウトは歓迎してくれましたけど、チームメイトというか、選手たちにとって自分はウェルカムな存在ではない、敵対心を向けられている、という感じでした」