元はアタッカー。サイドバック転向の背景とは?
4年ぶりのリーグ優勝を狙うサンフレッチェ広島に、ひとりの外国人選手が加入した。スウェーデン人のエミル・サロモンソンだ。スウェーデンの名門IFKヨーテボリで8シーズンを過ごし、フル代表の経験も持つ。自身初となる国外挑戦の場として日本を選んだ29歳はどんなプレーヤーなのか。
スウェーデン南部のスコーネ地方で生まれ育ったサロモンソンは、12歳の時に地元のエーケットGoIFでサッカー選手としてのキャリアをスタート。この全く無名のクラブで、毎年夏にヨーテボリで開催される世界最大規模の国際ユース大会ゴシアカップに出場してベスト16という成績を残したこともある。
この頃から有能な若手選手として周囲から期待されていたサロモンソンは、15歳のときに2部リーグのエンゲルホルムFFにプレーの場を移す。ここで3シーズンを過ごして経験を積んで年代別の代表にも選ばれるようになり、2008年に1部リーグのハルムスタッドBKに移籍する。
ハルムスタッドに加入するまでは主にサイドハーフもしくはFWでプレーすることが多く、周囲の評価は「スピードと得点感覚に優れたアタッカー」というものだった。
だが、当時の指揮官で現在はスウェーデンA代表の監督を務めるヤンネ・アンデションは、当時19歳だったサロモンソンを「サッカー選手として非常に賢い」とそのインテリジェンスを高く評価し、右サイドバックにコンバート。「ハルムスタッド加入当時は考えもしなかった」というこの新しいポジションの選手として、サロモンソンは2009年のAIK戦でトップリーグデビューを果たす。
コンバートした当初は戸惑いの連続だったという。それでも、頭と体をフルに使って右サイドバックのポジションを自分のものにしていく。お気に入りのチームであるバルセロナの試合を観る際は、ダニエウ・アウヴェスのプレーをチェックして参考にした。以来、このブラジル人サイドバックはサロモンソンにとってお手本となっている。
2009年9月、筆者は休暇でスウェーデンを訪れた際にハルムスタッドの試合を観戦し、そこで初めてサイドバックとしてプレーするサロモンソンを見た。