あるオーストラリア人記者の告発
「カタール代表選手のうち何人かは、本来代表でプレーする資格を持っていないのではないか…」
そんな噂を最初に耳にしたのは、AFCアジアカップも準々決勝進出チームが出そろい始めた頃だっただろうか。
きっかけはオーストラリア人記者のスコット・マッキンタイア氏がツイッターに投稿したコメントだった。
「アルモエズ・アリやバッサム・アル・ラウィを含む何人かのカタール代表選手の適格性に疑いがあると聞いている。2人はどちらもカタール国外で生まれ、5年の滞在要件を満たしていない(FIFAの規則で要求されているように、彼らはまだ23歳になっていない)」
「加えて、家族の繋がりが国(カタール)と繋がっているかにも疑問がある。FIFAのルールに基づくと、代表資格を得るためには両親か祖父母の誰かがカタール生まれでなければならないし、5年間の居住ルールも満たすことができない」
マッキンタイア氏は、続けてFIFAの規約の中で定められている「新しい国籍の取得」の部分のスクリーンショットも投稿した。ここで争点になっているのは第2章の「法令の適用を管理する規則」の中の第3項「代表チームでプレーする資格」に含まれた第7条である。以下、FIFAが公開している最新の2018年夏版より日本語に訳して引用する。
「第5条の第1項を参照して新たな国籍を取得し、第5条の第2項に従って代表選手としてプレーしたことのない者は、以下のいずれかの条件を満たした場合に新たな代表チームでプレーする資格を得る」
その条件とは以下だ。
(a)彼は関連する協会の領域内で生まれた
(b)彼の生物学的な母親、または生物学的な父親が関連する協会の領域内で生まれた
(c)彼の生物学的な祖母、または生物学的な祖父が関連する協会の領域内で生まれた
(d)彼は関連する協会の領域内で、18歳に達した後、少なくとも5年間継続的に生活してきた
ちなみに第5条の第1項というのは「特定の国の居住地に依存しない永住国籍を持つ者は、その国の協会の代表チームのためにプレーする資格がある」と定めたもので、第2項では一度でもA代表として公式戦に出場した場合に「鞍替え」が不可能なことを規定している。
また「代表チームでプレーするための資格」は同第6条で定められており、先に挙げた4つの条件のうち(a)〜(c)までは同じで、(d)のみ「関連する協会の領域内に継続して最低でも2年間居住してきた」となっている。