課題は変わらず。隙間へつける仕組みがない
ボールを持てば果敢に仕掛けてくるベトナムだったが、基調は日本がポゼッションして押し込む流れの試合になった。前半にベトナムに足を使わせたことで、後半に支配力が増したのは、初戦のトルクメニスタン戦と同じだ。5-4-1で守備を固められると、なかなか打開できないのも同じ。森保一監督は大会前から「試合ごとに成長していきたい」と話していたが、ポゼッション攻撃について進歩はみられていない。
最大の問題は相手の守備ブロックの「隙間」にパスが入らないことだ。ここにボールが入らないと、守備を固めている相手からチャンスを量産するのは難しい。
ロシアワールドカップでは、香川真司が狭いスペースでもフリーになってパスを受けて失わずにさばくことができた。ただ、チームとしてその仕組みを持っていたわけではなく、単純に香川の個人能力だったことがアジアカップでよくわかった。例えば、韓国はサイドバックの進出など周囲のポジショニングによって、オートマティックにソン・フンミンを左のハーフスペースでフリーにする仕組みを持っているが、日本にはそれがないのだ。
南野拓実はむしろストライカーで、トップに張っているか、相手に見られている状態でボールを受けにいくことが多く、したがって瞬間的にもフリーになれない。相方の北川航也はコントロール自体に失敗していてこちらもパスは入らない。結局、相手を背負っていても受けて失わない、「的の大きい」大迫勇也が頼りという状況はまったく変わらなかった。