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「大迫依存」は当たり前? フランスだってイングランドだって… 絶対的FWを欠く難しさは世界共通

text by 編集部 photo by Getty Images

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日本代表の大迫勇也【写真:Getty Images】

【日本 1-0 オマーン AFCアジアカップ2019・グループステージ第2節】

 現地時間13日、日本代表はAFCアジアカップ・グループリーグ第2節でオマーン代表と対戦し、1-0で勝利を収めている。この結果、森保ジャパンは1試合を残して決勝トーナメントに進出することが確定している。

 この日、日本代表は1トップに北川航也を起用。本来であればこのポジションのファーストチョイスとなる大迫勇也を負傷で欠いたからだ。そんな背番号15に代わる活躍を求められた北川だったが、前半から存在感を失い、2列目の選手とうまく連係をとることができない。ゴールも生まれず、56分に武藤嘉紀と交代を余儀なくされた。途中出場の武藤も短い時間でアピールに成功したとは言い難い内容に終わってしまった。

 結果、1トップが不振に陥った日本代表は1点しか奪うことができなかった。守備陣の奮闘もあり、なんとか勝ち点3はもぎ取ったが、改めて大迫の存在感の大きさを痛感させられる形となった。「大迫がいないと」「大迫に頼りすぎ」といった声も、これから続々と挙がってくるのではないだろうか。

 しかし、レギュラークラスのFWに頼りがちになるというのは、むしろ日本代表の問題だけではなく、世界共通のものだと言えるのかもしれない。最も良い例がロシアワールドカップ王者のフランス代表だ。同国のレギュラーFWはオリビエ・ジルー。彼は点取り屋というタイプではないが、ポストプレーのうまさはピカイチである。キリアン・エムバペやアントワーヌ・グリーズマンら2列目に豪華な人材を揃えるフランス代表においては、それらの選手を生かせるジルーが最も1トップに適した存在と言えるのだ。

 だからこそ、ディディエ・デシャン監督はジルーに絶対的な信頼を置いている。事実、ロシアW杯で、ジルーは全試合出場を果たしている。先にも述べたように、この長身FWは点を量産できるタイプではないが、フランス代表の1トップをこの男以外が務めるのもまた、難しい。ジルーをどんな形であれ失うことになれば、チームにとってはかなり痛手になるはず。タレント豊富な世界王者でも一人のFWに頼ることがあるのだから、日本もそんなに深刻に考える必要はない。

 イングランド代表もハリー・ケインという絶対的エースがおり、彼がいるといないとではかなり違ったチームになってしまう。クロアチア代表も最前線にはいつもマリオ・マンジュキッチ(すでに代表は引退)がいた。彼の空中戦の強さや守備面での貢献度はロシアW杯準優勝国には不可欠であり、代わりとなるような選手は不在だった。事実、マンジュキッチを失った同国は、その後のネーションズリーグで苦戦を強いられている。

 また、昨年10月に日本代表と対戦したウルグアイ代表。南米屈指の実力国はお馴染みのエディンソン・カバーニ、ルイス・スアレスの2トップが自慢だが、このどちらかが欠けてしまうと破壊力は格段に落ちてしまう。ロシアW杯・準々決勝の対フランス代表戦ではカバーニ、日本代表との親善試合ではスアレスが不在だったが、やはり2試合とも、攻撃のクオリティは下がっていた印象だ。そしていずれの2試合も敗れている。

 このように、レギュラークラスFWの不在が大きく影響を及ぼすのは日本代表だけの問題ではなく、サッカー界では当たり前のことなのかもしれない。絶対的なFWがいる国はやはり強いし、結果を常に残せるストライカーというのはどのチームにおいても不可欠だ。

 日本代表における大迫はそういった選手になる必要がある。もちろんレギュラークラスFWを脅かす存在が控えにいるのは最も理想的な形だが、今の日本にはそれが期待できない。だからこそ、アジア杯はしっかり大迫に頼るべきではないだろうか。

 そういった意味で最も重要なのは大迫が怪我で離脱しないことだ。アジア制覇へ向け、それだけはなんとしても避けたいところである。

【了】

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