チームを盛り上げた乾貴士の存在
前半から重苦しいスタートを強いられ、まさかのビハインドを背負うことになった9日の2019年アジアカップ・トルクメニスタン戦。後半に入ってから大迫勇也が4分間で2点を奪って逆転し、20歳の新星・堂安律が1点を追加したことで、3-2の白星に持ち込んだものの、内容的にはご存知の通り、課題山積のゲームだった。
不完全燃焼感が色濃く残った初戦から一夜明けた10日午前、日本代表は13日のオマーン戦に向けたトレーニングを行った。大迫、堂安、吉田麻也ら前日のスタメン11人はホテルで別メニューとなり、ピッチに姿を現したのは青山敏弘や東口順昭など12人。朝から気温30度を超える暑さに見舞われる中、明るく元気にチーム全体を盛り上げたのが、中島翔哉から背番号10を受け継いだ乾貴士だった。
ピッチに現れた時から周りに話しかけ、ボール回しでは笑顔で声を出して仲間の笑いを誘い、6対6のミニゲームでも鋭いシュートを決めるほど、イキイキした様子が際立っていた。
「今日は暑かったー。きつかったです。でもみんなで頑張ったんでよかった。(自分が賑やかに振る舞うことが)チームのプラスになるかどうか分かんないけど、ワイワイしながらやりたいタイプなんで。別にチームのためにというわけじゃないです」と本人は至ってマイペースを強調していた。が、この日は長友佑都と槙野智章という盛り上げ役が不在。「年長者の自分が引っ張ろう」という意識が少なからずあったはずだ。
その乾を森保一監督体制の新生ジャパンにどう融合させ、攻めのバリエーションを増やしていくかというのは、今のチームに課せられた可及的速やかに取り組むべきテーマだ。
初戦では堂安・南野拓実・原口元気の新2列目トリオが機能せず、全員が中へ中へと入ってしまう悪循環が続いた。ハーフタイムに乾らが「サイドからもっと攻めた方がいい」とアドバイスを送り、選手同士でも話し合って後半は修正できたが、相手の出方や状況に応じてその両方のスタイルを臨機応変に出せるようにならなければ、今後は厳しくなる。