ゴールハンターとしての小林悠
W杯の登録メンバー発表まで約2ヵ月と迫ってきた。ザッケローニ監督は「W杯に行けるメンバーというものは、誰もが約束されているわけではない」と強調し、先日のニュージーランド戦に向けたメンバーに入らなかった選手にも「これまで以上にトレーニングをして高めてほしい」とメッセージを発した。
とはいえザッケローニ監督が就任してからの3年半でチームのベースは固まっており、本大会に向けた戦術理解や連携の向上を考えれば、大幅な入れ替えはあり得ない。
現実的な有力候補としてあがってくるのもアジア予選時は常連であった中村憲剛(川崎)や招集歴があり経験豊富な大久保嘉人(川崎)や佐藤寿人(広島)、中村俊輔(横浜F・マリノス)、田中マルクス闘莉王(名古屋)といった選手たち。
昨年のJリーグで大ブレイクしながら選出の無かった川又堅碁(新潟)を待望する声もあるが、今季の開幕からの活躍が目立つ選手たちにチャンスは無いのだろうか? そこで[点取り屋][アクセント][マルチロール][ムードメーカー]という4つの基準から現在の代表にプラス効果をもたらせる選手を過去の招集経験に関係なく厳選した。
[点取り屋]は本当に得点が欲しい時間帯に頼りになるストライカーというよりゴールハンターだ。得点力もさることながら、現在のメンバーと違うビジョンを持っている選手が望ましい。そこで推薦したいのが小林悠(川崎フロンターレ)だ。
現在、川崎のエースが大久保あることは間違いないが、26歳の小林は風間八宏監督のもとで急速にゴール前での質を高めており、飛び出すだけでなくDFが守りにくい場所で止まる、切り返すといった動きも研磨されてきている。
彼の類まれなビジョンに関しては高校時代から注目していた。最初に取材したのは高校サッカー選手権の神奈川県予選だったが、得点のイメージに関して質問すると、相手の守備をどう破ろうとして、味方のパスをどう呼び込み、どういうトラップからフィニッシュに結び付けたのか、流れの全てを詳細に説明してくれた。