2節を残しての連覇達成
川崎フロンターレの2018年は、まさに「最強」を体現した戦いぶりでJリーグ史上5クラブ目となるJ1連覇を達成した。最終節を待たずしての優勝決定は過去に2例しかなく、11月の国際Aマッチウィーク前に決まるのはJリーグ史上初の快挙だった。
57得点27失点はどちらもリーグ最高の数字で、攻守の安定感は抜群。序盤戦はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)との両立に苦しみ、驚異的な勢いで勝ち星を積み重ねていたサンフレッチェ広島を追いかける立場だったが、川崎Fは年間を通して安定感を保ち続け、終盤に逆転して優勝まで駆け抜けた。
FC東京から再獲得した大久保嘉人は不発が続き、夏にジュビロ磐田へ放出。昨季のJ1初優勝の立役者だったエドゥアルド・ネットも名古屋グランパスへ移籍したが、大きな穴にならなかったのは川崎Fにとって大きな進歩と言えるだろう。
以前までは選手層の薄さが指摘されることもあったが、今季は中村憲剛が「誰が出ても同じサッカーができるようになってきている」と胸を張るほど、チーム全体の完成度が上がった。もともと風間八宏監督時代に培ったものを引き継ぎ、発展させてきた鬼木達監督のサッカーは熟成期に入っている。今あるスタイルを極めていく過程に、新加入選手や若手選手たちが融合していった。
その中で最も大きな飛躍を遂げたのは守田英正だろう。流通経済大学から加入したルーキーの同選手は、エドゥアルド・ネットを脅かす急成長でレギュラーポジションを奪取。後半戦は大島僚太の相方に収まり、森保一監督から日本代表にも招集されてデビューを飾った。
終盤戦には下部組織出身の田中碧らも台頭し、ポジション争いは激しさを増している。とはいえ小林悠や家長昭博、大島、中村といった柱が欠けた際にチーム全体のクオリティが明らかに低下してしまう課題は残る。
ベテランの中村や小林、家長、怪我がちな大島がいつでも万全とは限らない。J1連覇を果たしたことで今季以上に対戦相手からのマークが厳しくなる来季は、今の攻撃的なプレースタイルにより磨きをかけてACLとリーグ戦を両立できる選手層を整えたい。