2つの劇的な勝利がもたらす勢い
東京ヴェルディには、間違いなく今季最高の勢いがある。
J1参入プレーオフには最も下の立場であるJ2の6位枠で挑み、大宮アルディージャ、横浜FCといずれも自分たちより上位の相手を打ち倒してきた。しかも、2試合とも劇的な形で。
先月25日に行われたJ1参入プレーオフ1回戦の大宮戦では、約30分を残して内田達也が退場処分を受けた後、フリーキックから奪った虎の子の1点を死守して勝利。そして今月2日の2回戦、横浜FCは後半アディショナルタイムの90+6分にコーナーキックから、GK上福元直人が放ったヘディングシュートのこぼれ球にドウグラス・ヴィエイラが詰めて、これが決勝点となった。
あまりに衝撃的な展開で望みをつないだヴェルディ。上福元が「全員の思いが乗ったゴール」だといえば、最後に押し込んだドウグラス・ヴィエイラも「チーム全員の思いと気持ちが伝わったゴール」と応じる。
最後の最後まで諦めない。11年ぶりのJ1昇格、そしてミゲル・アンヘル・ロティーナ監督や、その右腕のイバン・パランコらとともに積み上げてきた2年間の集大成を最高の形で表現するために、ヴェルディは一致団結している。
これまでのJ1参入プレーオフの2試合でも見られた通り、ヴェルディはロースコアの展開を苦にしない。レギュラーシーズンでの56得点はJ2全体で8番目、6位以上のクラブでは5番目と際立った数字ではない。一方、41失点はJ2を制した松本山雅FCに次ぐ2番目の少なさだ。
ロティーナ監督とパランココーチが2年間かけて作り上げたのは、堅守をベースに効果的にゴールを奪って勝つチームだった。3-4-2-1をベースにして、各ポジションの選手に明確な役割が定められ、彼らは自らのミッションを確実に遂行する。そうすることでチーム全体の歯車が噛み合っていく。