“ロイス・システム”への対策が進み、苦戦が続くドルトムント
“対策”を打ち破ることができるか。12月1日に行われるブンデスリーガ第13節で、SCフライブルクをホームに迎えるボルシア・ドルトムント。11月29日の会見で、ルシアン・ファブレ監督は、対戦相手の“傾向”について語った。
「多くのチームが―特に我々のホームで我々と対戦する時―システムを変更する。これまで対戦したチームがとてもディフェンシブにプレーしたのは明らかだ。簡潔にカウンター狙いで、よりシンプルにより速くプレーしてくる」
ここ2試合(24日の対1.FSVマインツ05戦、対28日のクラブ・ブルージュ戦)で顕著だが、対戦相手が“ロイス・システム”を研究/分析した上で試合に臨んでいるのは明らかだった。端的に言ってしまうと、コンパクトな守備ブロックを構築し、ゾーンとマン・ツー・マンの併用で、マルコ・ロイスに間受けのためのスペースと自由を与えない。[9.5番]のポジションで要としてプレーする主将を封じられたことで、ドルトムントは攻撃のリズムを失う。左サイドで先発したラファエウ・ゲレイロが中央にポジションを取っても、さほど効果はなかった。同様にブルージュは、ファブレ・サッカーの持ち味であるサイドアタックも十分に警戒。クリスティアン・プリシッチが何度も仕掛けたが、深く引いた守備で難を逃れていった。こうしてドルトムントは、ブルージュ戦で不発に終わってしまう。
もちろんブルージュ戦では、両サイドでレギュラー格のジェイドン・サンチョとヤコブ・ブルーン・ラーセン、そして重厚なオーバーラップで攻撃に厚みをもたらすSBのアクラフ・ハキミがベンチスタートだった。サイドアタックという点では、いつもの連動と迫力を欠いても、仕方のないところはあった。逆に言うと、途中出場で違いを作れるアタッカーがいない、ということになるのだが。
そういった意味では、途中出場で結果を出してきたパコ・アルカセルも、先発したブルージュ戦では不発。そもそも先発の機会が少なかったためか、まだ周囲との連係が十分には取れていないようだ。スペイン代表FWのコンディションに対して、ファブレ監督は細心の注意を払ってきたが、まだ体調面で十分ではないのであれば、しばらくは後半から途中投入の方が良いのかもしれない。現状でロイス・システムの行き詰まりを打破する可能性が最も高い方法は、“アルカセルのジョーカー起用”である。
会見でファブレ監督は、フライブルクを次のように評した。
「とても良く組織されたチーム。とてもコンパクトで多くのシステムでプレーできる」
戦術的に優れたクリスティアン・シュトライヒ監督のチームが、ブルージュのように“対策”を講じてくるのは間違いない。辿り着いた“最適解”=現有戦力の組み合わせで最も効果的なシステムは、早くも行き詰まってしまうのだろうか。土曜日のフライブルク戦は、今季の“分水嶺”となるのかもしれない。