日本代表デビュー戦史上最速ゴール
来年1月に控えるアジアカップに向けて、日本代表の陣容が固まりつつある。先月のウルグアイ戦、そして今月16日のベネズエラ戦で先発起用されたメンバーが、当面は森保ジャパンの軸になっていくだろう。
迎えた20日のキルギス戦。試合前から格下相手の一戦と予想された中で、今度はいわゆる“控え”とされる選手たちにチャンスが与えられた。だが、アジアカップでのメンバー入りに向けてアピールが求められる彼らのパフォーマンスは、満足と言えるものではなかった。
もちろん存在感を発揮した選手もいる。中盤でダブルボランチを組んだ三竿健斗と守田英正は、気の利いたポジション取りと安定したパスさばきで日本代表の戦力になるだけの力を示した。そして最も大きなインパクトを残したのは、左サイドバックの山中亮輔だった。
今回が日本代表初招集の山中は、キルギス戦で初出場を果たす。そして開始からわずか2分、果敢な攻め上がりでペナルティエリア手前まで進出すると、右サイドから運ばれてきてきたボールをダイレクトで叩く。
自慢の左足から放たれた低く鋭い弾道のシュートはゴール右隅に突き刺さり、日本代表史上最速のデビュー戦ゴールとなった。「本当にうれしかったです、素直に」と語った25歳は、大きなガッツポーズでその喜びを表現した。
この日はキルギスが5-4-1の形で、最終ラインを高めに保ちながらも守りを厚くしてきた。それに対して日本は、杉本健勇と北川航也が中央に構え、両サイドの伊東純也と原口元気が中に絞って相手の守備組織の間を狙っていく。そして両サイドバックが高い位置をとることで、ピッチ全体の幅と深さを確保しながら攻める形だった。
山中は試合前に「外を回っていくイメージ」と語っていた通り、所属クラブの横浜F・マリノスで普段からとっている中に絞った特殊なポジショニングではなく、オーソドックスなサイドバックとしての役割に徹していた。
中央寄りから仕掛ける原口の外側を追い越していく。「体が勝手に動いたような感じ」で得意の左足を振り抜いた一発は相手をペナルティエリアまで押し込んだ状態で後ろから走り込んだ形だったが、やはり基本的にはアウトサイドで周りと絡んでいくプレーが主だった。