「追う側」から「追われる側」に
川崎フロンターレがJ1連覇を達成した。これはヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)、鹿島アントラーズ、横浜F・マリノス、サンフレッチェ広島に続く、史上5クラブ目の偉業だ。
昨季のリーグ優勝がフロンターレにとっての初メジャータイトル獲得で、今季は連覇。かつて同様に2年続けて頂点に立ったクラブが強豪と呼ばれるようになったように、J2の苦しい時代も経験したフロンターレも“常勝”への階段をのぼっている。
優勝が決まった10日のJ1第32節セレッソ大阪戦は、終盤にゴールを許して1-2で敗れた。それでも2試合を残してJ1制覇が決まるほど、2位以下に大きな勝ち点差をつけていたことが今季のフロンターレの強さを物語る。昨季は最終節で鹿島を逆転する劇的な幕切れだったことを思えば、年間を通じて最も多くの勝ち点を積み重ねたチームこそが強いという事実を、フロンターレは改めて証明した。
プロ入りからフロンターレ一筋16年の中村憲剛は、昨季J1初優勝が決まった時に「やっとこれで色々なものの呪縛が解き放たれる。フロンターレの未来につながると思う」と胸を張るとともに、「優勝するチームが『また優勝したい』と言うのは、こういう景色をまた見たいんだなと。みんなで喜ぶことができたあの景色というのは、一瞬のことだけど忘れられない」と感慨深げに語っていた。
今季は15年間探し求めて、やっとの思いで目にした「あの景色」の記憶を胸に刻み、同時に「追う側」から「追われる側」になる、新たな重圧とも向き合いながら、連覇に向けて戦ってきた。「昨年の優勝の時とは全然違うというか、嬉しいですし。けどチャンピオンとして臨むシーズン、『勝って当たり前だろ』と思われながらやるシーズンの苦しさというのはやっぱり感じましたね。それは昨年とまた別物でした」と中村は言う。