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香川真司 11年前

韓国ではアンチ増加も莫大な経済効果。香川真司がマンUに必要とされた理由

香川加入により、マンチェスター・ユナイテッドには、どのような経済効果があったのか。プレミアのビッグクラブのセールス担当者や、韓国系選手代理人会社のスタッフなどへの取材で明らかにしていく。(原稿初出:2013年6月発売、『フットボールサミット第13回)

text by 鈴木英寿 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Asuka Kudo / Football Channel

【フットボールサミット第13回】掲載

マンU、圧倒的な営業規模

 香川真司がマンチェスター・ユナイテッドに加入したことで、クラブにはどれだけの「コマーシャル効果」があったのだろうか。イングランド、そして前シーズンまで在籍していたパク・チソンの母国・韓国のサッカー関係者など業界関係者に取材したレポートが、本稿である。

 まず、本論に入る前にかなり長くなるが、ユナイテッドの「営業規模」を示しておきたい(以下、為替計算は簡易的に1ポンド=150円とする)。

韓国ではアンチ増加も莫大な経済効果。香川真司がマンUに必要とされた理由
 香川真司がマンチェスター・ユナイテッドに加入したことで、クラブにはどれだけの「コマーシャル効果」があったのだろうか【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 国際会計事務所デロイトが2012年に発表したユナイテッドの総売り上げは、3億2030万ポンド(約480億円)。

 収入面での内訳は大きく分けて次の3分野である。
(1)マッチデー収入……(9870万ポンド=148億円)
(2)放映権収入……(1億400万ポンド=156億円)
(3)コマーシャル収入……(1億1760万ポンド=176億円)

 日本のJクラブに即していえば、(1)は入場料や飲食販売といったスタジアムでの試合興行から得られる「事業収入」に当たる。(2)はJリーグ本体からの「分配金」。(3)はスポンサーセールス・スポンサーサービス・マーチャンダイジング(クラブ商品販売)などによる「営業収入」である。

 プレミアリーグとJリーグで、圧倒的に差をつけられているのが、放映権収入である。たとえば12-13シーズン、20回目のプレミアリーグ優勝を飾ったユナイテッドには、6080万ポンド(91億2000万円)の収入があったが、これだけで浦和レッズとサンフレッチェ広島の2クラブ分の総営業収入を大きく上回る。ちなみに、最下位で降格したクイーンズパークレンジャーズ(QPR)の放映権収入は、3970万ポンド(59億5500万円)である。

 香川がユナイテッドに加入したことで、マッチデー収入に大きく貢献したとまでは言えない。というのも、もともとオールド・トラッフォードは常時7万人を超えるファンが詰めかけ、人気カードともなれば7万5000人もの人々が、マンチェスター、英国はもとより世界中から駆け付けてきた。

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