「引き分けが妥当だった」(モウリーニョ)
アリアンツ・スタジアムにこだまする大ブーイングの中、右耳に手を当て不敵な笑みを浮かべるインテル…いや失礼、マンチェスター・ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ監督。「90分間自分と家族、そしてインテルファミリーに対する罵倒を受けていた」とイタリア衛星TVスカイに語った彼は、試合後の記者会見でこんなことも言っていた。
「私は別に挑発をしたわけではない。マンチェスター・Uの監督として仕事する以上、過去を考えてはいけないと思っている。むしろ過去を忘れていなかったのはユーベのファンだ」。
ユーベファンが因縁深い1番の仇敵と認識しているのはインテルである。だからこそ、かつて同クラブを率いていたモウリーニョにユベンティーノたちはブーイングを浴びせるし、モウリーニョも第3戦で「トリプレータ(3冠)」を暗示する3本指を立てて応戦していた。それもまた、カルチョの文化の一面だ。インテルを離れてから随分経つというのに、そういうものを忘れていないモウリーニョは、やはりサッカーの情熱に生きる人物なのだろう。
とはいえそのモウリーニョも、試合内容については「引き分けが妥当だった」と地元メディアに語っていた。試合開始から80分間はほぼユーベが支配し、攻守両面で隙のないゲーム展開をしていた。ただ彼らは試合の最後のまとめに失敗し、マンチェスター・Uに付け入る隙を与えてしまったのである。
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