スタジアムが揺れる6万人の大声援の中で
強いチームではなく、勝てるチームを作る。
U-19日本代表が、2大会連続となるU-20ワールドカップ出場権獲得を目指すにあたって掲げていたテーマである。
28日に行われたAFC U-19選手権の準々決勝、インドネシア戦はまさに「強さ」が問われる試合だった。スタジアムには6万人を超える地元インドネシアのサポーターが詰めかけ、試合前から応援歌を熱唱している。スタンドがピッチを360度囲んでいるため反響も凄まじく、その音圧は想像をはるかに超えていた。
試合が始まると、6万人の大声援はさらに勢いを増す。久保建英でさえも「みんなスピーカーでも持ってんのかってくらいですね。なんか本当に、日本の応援とは違って、みんながみんな声が馬鹿でかいみたいな。どこがゴール裏かわからないくらい声がでかかった」と驚きを隠さなかった。
ちょっとしたボール奪取やカウンターにスタンド全体が湧き、波のように音がスタジアム全体からピッチに覆いかぶさる。逆サイドが見えづらくなるほどの激しい雨と雷に見舞われた後半も、インドネシアサポーターの声援が衰えることはなく、スタジアムを揺らすほどに、むしろ勢いを増していった。
だが、日本の選手たちは動じなかった。スタジアムが完全アウェイの状況になるのは事前にわかっていたこと。それを楽しみにしている者も多くいた。
「6万人を黙らせてやろう」
選手たちの意識はそこに統一されていた。影山雅永監督が試合前日に「小手先の巧さは通用しない」と警戒していた一戦。確かに今大会で最も苦しい戦いを強いられた中で、日本が証明したのは「強さ」だった。
40分に東俊希のスーパーミドルシュートで先制すると、71分に宮代大聖が加点。その後、心なしかインドネシアサポーターの声援がおとなしくなったような気がした。まさに「黙らせてやろう」という狙い通り、声援に押されて勢いよく攻めてくる相手を押し返しながら、苦しい時間帯も耐え抜いて勝利をもぎ取った。
最終盤までピッチに立っていた久保は、「最後の方も、本当に苦しい時間帯もみんなで防いだし、本当に全力というか。調子が100%かと言われたらそうでない選手もいたと思うんですけど、その中で今出せる全力を出したのかなという感じです」と晴れ晴れした表情で話した。