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いわきFC、選手に求める「ぎらついた夢」。J1から6つ目のカテゴリーで起こる熾烈な生存競争【いわきFCの果てなき夢】

10月19日から24日にかけて行われた第54回全国社会人サッカー選手権大会で、いわきFCは3位入賞を果たした。毎年選手が大幅に入れ替わるなか、全国の舞台で一定の成果を残したと言える。そんなチームには確かな競争原理が働いている。真っ白なキャンバスに色を加えながら、選手たちは“夢”へと突き進む。(取材・文:藤江直人)

シリーズ:いわきFCの果てなき夢 text by 藤江直人 photo by Editorial Staff
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発足から約3年、当時のいわきFCを知る選手は5人

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練習拠点となっている、いわきFCフィールド【写真:編集部】

 22人のうちわずか5人。確率にして22.73%――。何を表している数字かを説明すれば、少なからず驚きをもって受け止められるかもしれない。

 アメリカのスポーツ用品メーカー、アンダーアーマーの日本総代理店を務める株式会社ドーム(本社・東京都江東区、安田秀一代表取締役CEO)が親会社となり、スポーツを通じていわき市を東北一の都市にするというビジョンを掲げて、新たな体制でいわきFCがスタートしたのは2015年12月11日だった。

 翌年2月9日福島・いわき市内で開催された、新入団選手発表会見に臨んだ選手は総勢22人。福島県社会人リーグ2部からスタートさせたカテゴリーを2017シーズンは同1部、今シーズンは東北社会人サッカーリーグ2部南とひとつずつ上げてきたなかで、いま現在もいわきFCでプレーしているのは5人しかいない。

 GK大野将弥、DF古山瑛翔、FW片山紳、FW菊池将太、FW吉田知樹の5人。茨城・明秀日立高校卒で1998年生まれの吉田を除いた4人は1993年生まれで、そのうちスロベニアのNKラドムリエから加入した古山以外は大卒選手だった。

 最初に船出した22人のうち、一般社団法人いわきスポーツクラブのもとで2013年から活動していた前身のいわきFCから引き続き在籍した選手は2人。残る20人は「コンバイン」と命名された選手選考会を通過した14人と、独自の視点でスカウトした6人だった。

 そして、2016年のオフは14人が退団し、大卒8人、高卒4人の計12人が新たに加入。さらに2017年のオフにも10人が退団したが、そのなかにはJ1の北海道コンサドーレ札幌を撃破するジャイアントキリングを演じた、天皇杯全日本サッカー選手権2回戦で先発した4人も含まれていた。

 迎えた2018年。J2の京都サンガF.C.から完全移籍で加入したGK永井建成と、大卒5人、高卒2人のルーキーを加えた25人体制で、いわきFCは東北社会人サッカーリーグ2部南を1試合残して制覇。10月26日時点で17戦全勝、総得点126に対して失点12という圧倒的な成績で、来年からの東北社会人リーグ1部への昇格を決めた。

 たとえば中盤の顔ぶれを見れば、6人が名前を連ねた2016年からすでに全員が入れ替わった。わずか3年目で、ここまでチームの陣容が変わったのはなぜなのか。発足時は強化・スカウト本部長を、昨シーズンからはトップチームの監督を兼任で務めている田村雄三は、意図的な変化だと説明する。

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