多くのサポーターが詰め掛けた埼玉スタジアム
52,293人のサポーターがスタジアムを埋めた、浦和レッズのホーム開幕戦。名古屋グランパスを迎えた浦和は、宇賀神友弥のゴールで1-0と勝利した。また結果以上に、主導権を握りながら相手を圧倒した内容は観るものに対して強い印象を与えた。
8勝6分3敗。
昨シーズン、浦和がホーム・埼玉スタジアムで残した成績だ。決して悪い数字ではないが、6引き分けという数字が表すように勝ちきれなかった試合も多かった。ペトロヴィッチ監督の志向するサッカースタイルは、どちらかと言えば引き気味に構えて相手を引き込み、そこから鋭いカウンターを繰り出すものだ。
特徴的な選手の配置、後方からのビルドアップも含め、かなり早いスピードでチームにそのスタイルは浸透していったが、一方で相手を圧倒するような時間帯はあまり生まれなかったのも事実。しかし、この日の名古屋戦で見られた戦いは、開幕の広島戦同様、攻守両面で常に主導権を握ろうとするアグレッシブなものだった。
序盤は名古屋のプレスに手を焼いたが
試合は、開幕戦と同じメンバーで臨んだ浦和に対し、名古屋は何人かの選手を入れ替えてきた。開幕戦で闘莉王が負傷したことを要因として、3バックから4バックに戻し、新加入のヤキモフスキーを2トップの一角に据え、ボランチには田口泰士に替えて中村直志を、左サイドバックには阿部翔平を起用し4-4-2の布陣で臨んだ。
名古屋は序盤から、浦和のサッカーを壊すべく序盤から積極的にプレスを掛けていく。具体的には、矢野貴章、ヤキモフスキーの2トップとボランチ二人のどちらかが浦和の3バックにアプローチし、藤本淳吾と小川佳純が浦和のアウトサイド梅崎司、宇賀神友弥をマーク。前線からマンツーマンで人を当てて、高い位置からかなりタイトにボールを追い込んだ。
名古屋のプレスに手を焼いた浦和は、思うようにボールを動かすことができずにいたが、試合後に槙野はこう振り返っている。
「あれが90分続くとは思ってなかったですし、みんなが焦れずにしっかりとボールを保持した中での崩さないサッカーができたからこそ、こういう結果が出たと思います。あそこで相手のプレシャーに負けてロングボール蹴ってると、自分たちのリズムも生まれませんから。それほど中でやっている選手からするとプレッシャーは感じなかったです」
その言葉を証明するように、前半の25分過ぎから浦和は徐々に自分たちのペースを取り戻していく。興梠の加入で一気に安定感が高まった前線のボールキープ力を武器に、中央へ一度楔を入れてそこからサイドへ展開していく。昨年から取り組んでいるスタイルだが、その精度は昨年とは比較にならないくらい高まっている。53分に生まれた宇賀神の得点シーンは、まさにその典型的な形と言えるだろう。