救世主となったアルカセル
スペイン人FWが“置き土産”を残した。10月6日のブンデスリーガ第7節で、ボルシア・ドルトムントは、アウクスブルクを迎え撃った。3週間で7試合という過密日程を締め括る、最後の試合。疲労の蓄積は避けられなかった。試合後にルシアン・ファブレ監督は「今日は少し疲れていたね」と振り返った。マルコ・ロイスは「最後の週は本当にくたびれていた」と語った。
ただでさえコンディションが万全とは言い難かったのに、アウクスブルクは、その傷口に塩を塗りこんできたようなものだ。
主将のロイスが振り返る。
「アウクスブルクはミュンヘンでそうしたように、フルコートでマンツーマンの守備を敷いてきたね。彼らは常に後ろから付いてきた。長い間イライラさせられるものだったし、多くのエネルギーを失ったよ」
こうした敵のアグレッシブな守備に苦しめられ、ドルトムントは何度か自陣でボールを失った。21分にはカウンターを止めようとアクラフ・ハキミがマルティン・ヒンターレッガーを倒して、敵の先制点に繋がるFKのチャンスを与えてしまう。そもそも疲労の影響か、全体をコンパクトに保つことができず、リズムとテンポが鈍かった。速攻も冴えず、ロイスとジェイドン・サンチョのコンビネーションも、固い相手に苦戦。
アウクスブルクは、高い位置からプレスを仕掛けるだけでなく、引くべき時は自陣ペナルティエリア付近に引いて、粘り強い守備を展開した。その前でボールを回しても、なかなか突破口を見出せない。前半を0-1で折り返す。
後半に入っても、状況は変わらなかった。49分、アウクスブルクは、ボールを奪えば即座にカウンターに繋げてくる。失点の危機はGKロマン・ビュルキの攻守で辛うじて防いだが、ロイスも激しいチェックで潰されるなど、苦しい状況は続いた。だが、60分以降、そんな停滞ムードは一変する。流れを変えたのは、パコ・アルカセル。スペインからやってきた“救世主”だ。