マリノスが“ミニ・マンチェスター・シティ”に?
今季初のリーグ戦3連勝。本稿執筆時点で、横浜F・マリノスは暫定9位に浮上した。順位表の上半分に入るのは、開幕戦以来のことだ。
5日に行われたJ1第29節の北海道コンサドーレ札幌戦は、非常にオープンな展開となった。主力に3人の出場停止者を抱えていた札幌は、普段の3バックではなく4バックを採用。オフサイドによって取り消されたものの、序盤に2度ゴールネットを揺らした。
そして21分にジェイの技ありのミドルシュートで札幌が先制する。主導権を握っていたところから、徐々に押し返されての失点。今季のマリノスがハマりがちなパターンで、そのまま逆転する、あるいは追いつくことができず敗れた試合も数多くあった。
だが、この日のマリノスは違った。失点直後の23分に仲川輝人のゴールで同点に追いつくと、42分にウーゴ・ヴィエイラが加点。前半のうちにスコアをひっくり返し、後半も手綱を握ったまま、勝ち切って3連勝を果たした。
最近のマリノスは「ファーストユニット」が固まりつつある。選手の立ち位置がしっかりとチームの約束事として共有され、ポジションチェンジもスムーズになった。特に戦術上の生命線であるサイドではそれぞれの選手が縦に「被らないように」という意識が統一され、流動的に立ち位置が変わってもそれぞれが適切なポジションを取れるようになってきた。
勝ちが続くようになってきたことで「やっていて楽しい」と多くの選手たちが語り、指揮官の教えは着実に根づいている。ピッチ上で表現されるサッカーは、「マンチェスター・シティのよう」と言われていたシーズン開幕当初以上に、シティらしくなってきた感すらある。
守備に走り回り、札幌戦で仲川のゴールをアシストしたように味方のチャンスを演出し、自らゴールを決めるウーゴ・ヴィエイラは、本人が「似ていると言われたことがあるし、そういうプレースタイル」と語るセルヒオ・アグエロの姿が重なって見える。
直近2試合で3得点を挙げ、「いまは最高に体の調子がいい」と波に乗る仲川のキレキレぶりは、まるでラヒーム・スターリングのよう。札幌戦のゴールに繋がった切り返しは、一瞬で相手DFを置き去りにした。
日本代表にも選ばれた天野純は、昨年から「ダビド・シルバのプレーを参考にしている」と話していたが、「みんなも結構シティの試合見ているので、自然に似てきている部分もあるし、ヤマ(山中亮輔)とかも意外とサッカー見ているので、動く感覚とか結構合う」と明かす。
その山中は今季リーグ戦29試合出場で4ゴール8アシストと攻撃性能の高さを存分に発揮している。本家シティの左サイドで異彩を放つバンジャマン・メンディに通ずる積極性は、札幌戦でもウーゴ・ヴィエイラのゴールを演出した。