ジュニアサッカーを応援しよう!『いわきFCの果てなき夢』連載ページ
チーム最古参の一人、20歳の若者の実感
ユニフォームの上着越しに伝わってくる胸板の厚さ。あるいは、パンツとストッキングの間に見える太ももの盛り上がりぶり。2018年は東北社会人サッカーリーグ2部南を主戦場としている、いわきFCの選手たちの体の2ヵ所を見れば、何年在籍しているかがだいたいわかる。
アメリカのスポーツ用品メーカー、アンダーアーマーの日本総代理店を務める株式会社ドーム(本社・東京都江東区、安田秀一代表取締役CEO)が親会社となり、いわき市を東北一の都市にするという理念を掲げて新体制をスタートさせて3年目。在籍年数が長い選手ほど、ボディも筋骨隆々としている。
たとえば、明秀日立高校(茨城県)から2016年に加入し、今シーズンを戦う25人の選手のなかでは最古参の一人となった20歳のFW吉田知樹は、2年あまりの間に体重が65kgから72kgに増えた。その理由を「ストレングストレーニングと、あとは食事ですね」と振り返りながらこう続けた。
「ストレングストレーニングがもともと好きではなかったこともあって、1年目の最初のころは体力的にもきつかったですね。ただ、自分の持ち味であるドリブルをしているときに、相手に体をぶつけられてもブレなくなった。それで意識が変わってきたというか、意欲的に取り組むようになりました」
新体制が船出した2016年1月に、いわきFCはサッカーを通じて実現させる3つのビジョンを掲げた。『いわき市を東北一の都市にする』と『人材育成と教育を中心に据える』にはさまれた2番目には、既存のJクラブとは一線を画す形でトップチームが取り組む『日本のフィジカルスタンダードを変える~魂の息吹くフットボール~』が記されている。
要は「体が大きくなれば動きが鈍くなる」といつしか定義されてきた、日本サッカー界の常識とは対に位置するトレーニングを選手たちに課してきた。1週間の練習のうち、室内でのストレングストレーニング時間は実に60%から70%を占める。常識を覆すためにも意図的に練習内容を偏らせた。
昨夏に全面開業した、日本で初めてとなる商業施設複合型クラブハウス『いわきFCパーク』の2階には、ドームが運営するトレーニングジム「ドームアスリートハウスいわき」がテナントとして入居。最新鋭の機器が並ぶ環境が整ったことで、選手たちの日々の鍛錬は一気に加速された。