「最高の選手に成長したければ私の下でプレーすることだ」
今季のCL決勝トーナメント1回戦で実現した、ディディエ・ドログバとチェルシーの再会。しかも、ジョゼ・モウリーニョのチェルシーとの再会だ。
2月26日の第1レグ(1-1)、イスタンブールに古巣を迎えたガラタサライの11番は、キックオフ前の握手の際、チェルシーの先発メンバー全員と肩を抱き合った。試合終了後には、80分に下がっていたベンチを出ると、ピッチを去る旧友全員を労った。
しかし、一昨季までのチェルシー11番にとって最大の戦友は相手監督に他ならない。ドログバは、2004年の一度目のモウリーニョ就任時に、新監督に請われて同志となった。チェルシーには、ジョン・テリー、フランク・ランパード、ペトル・チェフという10年来の戦士もいる。
だが、ユースから昇格していたテリー、監督交代前の補強だったランパードとチェフとは違い、ドログバはモウリーニョに見初められてのチェルシー入りだ。
出会いは更に1年前。ポルト時代のモウリーニョは、CLでのマルセイユ戦で自軍からゴールを奪った相手FWに、「今は買えないが、最高の選手に成長したければ私の下でプレーすることだ」と告げたと、ドログバ自身が述懐している。
一方のモウリーニョは、当時のチェルシーでは史上最高の約41億円という移籍金を伴う補強に際し、「経営陣を説得する必要があった」と後に明かしている。
そして、ドログバは移籍直後からエースとして扱われた。モウリーニョの信頼と起用方針は、新CFがプレミア適応に手間取っている間も変わらなかった。監督による「あいつとならどんな戦いにでも出向ける」という評価は、3月で36歳の今でもドログバのお気に入り。
そのドログバも、チェルシーFWとして「地の果てまで」と指揮官への忠誠を誓っていた。今季CL16強抽選前のモウリーニョは、固い絆で結ばれた「キング・ディディエとの再会が望みだ」と公言してもいた。