拮抗した前半も想定内
「アジア大会ベスト4」の目標を掲げていた森保一監督にとって、27日の準々決勝・サウジアラビア戦は非常に重要な意味を持つ大一番だった。中2日の強行日程で選手起用は難しかったが、指揮官は24日のラウンド16・マレーシア戦スタメンからケガの原輝綺を除く10人をそのまま抜擢。あえて土台を変えず、途中からフレッシュな陣容を投入する戦い方を決断した。
その采配が的中し、日本は前回の劇的勝利の勢いを持ち込んでアグレッシブに入ることができた。サウジアラビアが立ち上がりから飛ばさず、日本をリスペクトして守備的に来たことも奏功し、選手たちはいいバランスを取りながら試合を運んだ。
守備では3バック中央に位置した立田悠悟が中心となって中国戦ハットトリックのエースFWカマラ(9番)を確実に封じ、攻撃面でも前田大然や岩崎悠人らが持ち前のスピードを生かして前線に迫力をもたらす。メリハリのついた展開はマレーシア戦には見られなかったものだった。
その流れから前半31分に先制点を奪うことに成功する。左サイド・杉岡大暉がいいクロスを上げ、中央の前田が落とし、そこに走り込んだ岩崎がペナルティエリア手前から右足を一閃。チームを大いに活気づけた。
だがこの8分後、FKの流れから日本の右サイドをえぐられ、GK小島亨介と立田の連係もかみ合わずに同点弾を献上。前半を1-1で折り返す。こういった拮抗した展開を森保監督は想定していただろう。
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