東京五輪世代が味わう「アジア」の厳しさ
インドネシアで開催されているアジア競技大会は、「アジア」を実感するのにぴったりな場かもしれない。
ワールドカップのような予選がないこの大会には、男子サッカーであればFIFAランキング32位のイランから201位のパキスタンまで、あらゆるレベルのチームが参戦してくる。グループリーグも各組ごとにレベルはまちまちで、普段なら味わえないような戦い方との出会いもある。
例えば日本と同じグループには、ネパールやパキスタンが入っていた。ワールドカップ予選であれば対戦する機会のない、単純に見れば実力差は明らかなチームだったが、彼らは強豪と戦うための戦術を入念に準備して大会に臨んできた。
グループリーグ初戦、日本はネパールの「6バック」に大いに苦しめられた。行徳浩二監督は、同じ日本人である森保一監督の戦術を熟知しており、その肝である両ウィングバックにマンツーマンマークをつけ、中央にも人数を増やして守ることで失点を最小限に抑えようとした。
とにかく守備を第一に考えた戦い方に、森保ジャパンは打開策を見いだせないまま1-0というロースコアで勝利した。内容に乏しく、「大凡戦」と言って差し支えない展開になったことで、誰もが「もう1点欲しかった」と後悔を口にし、自分たちのやり方にこだわらない柔軟さの必要性を痛感した。
グループリーグ第2戦、パキスタンも守備的な戦いで日本に対抗しようとした。しかし、この試合ではネパール戦を踏まえて改善を試みた日本の狙いがしっかりとハマり、序盤の約10分間で3ゴール。最終的には4-0という大差をつけた。
得点の形も手数をかけて崩しきることを狙ってばかりいたネパール戦から一転、3バックの左右のストッパーからのロングボールや、高い位置でボールを奪って守備から攻撃への切り替えで効率的にゴールを奪うことができた。
とはいえ、相手がさらなる失点を避けようと度々痛んでピッチに倒れこむなど、頻繁にプレーの流れを切ってきた後半に集中力を切らしてしまい、5点目、6点目と続くことはなかった。岩崎悠人も「チームとして勢いがなくなったのもありますし、試合が切れる時間帯が多くて、集中力が下がった」と後半の試合運びの拙さを悔やんでいた。